1995 Fiscal Year Annual Research Report
リグニン中のエーテル結合の選択的開裂反応に関する研究
Project/Area Number |
07456078
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
飯塚 堯介 東京大学, 農学部, 教授 (30012074)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 雄二 東京大学, 農学部, 助教授 (30183619)
|
Keywords | リグニン / リグニン化学構造 / エーテル結合 / 構造不均一性 / エーテル開裂反応 / HASB試薬 |
Research Abstract |
本研究は申請者らが従来よりすすめてきたハード酸ソフト塩基(HASB)試薬による各種エーテル結合の選択的開裂反応を用い、リグニン化学構造の不均一性についての新たな知見を得るとともに、パルプ化反応における一部リグニンの示す難脱リグニン性の本質に迫ろうとするものである。本年度は、まず、リグニンモデル化合物として、ベラトリルグリセロール-α、γ-ジメチルエーテル-β-グアイアシルエーテル、およびグアイアシルグリセロール-β-グアイアシルエーテルを合成し、トリメチルヨードシランおよびヨードピバレートの二種のHASB試薬による、それぞれα-およびβ-エーテル結合の選択的開裂反能条件を確認した。次いで、マカンバ材から単離した過ヨウ素酸リグニンに対し、これらの反応を適用した。本年度は主としてトリメチルヨードシランを使用し、極めて不十分量のこの試薬により、繰り返し処理を行った。その結果、未処理の段階で既に溶媒可溶の区分、および処理の初期段階で低分子化し溶出したリグニン区分が、シリンギル核とβ-O-4型構造に富むのに対し、繰り返し処理がすすむにしたがって、グアイシル核の寄与が増大し、少量ながらフェニルクマラン型構造を43%も有するリグニン区分も溶出することが明らかとなった。この事実は広葉樹リグニンが構造的に極めて不均一であることを示している。即ち、前者がエンドワイズリグニンの特性を示してるのに対し、後者は広葉樹リグニンにフェニルクマラン構造を主要な構造とするリグニン区分が存在することを示しており、その存在部位およびパルプ化反応等に対する挙動が注目されるところである。
|