1996 Fiscal Year Annual Research Report
マガキによるN,Pの除去機能に注目した広島湾の環境保全と持続的生産に関する研究
Project/Area Number |
07456089
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
松田 治 広島大学, 生物生産学部, 教授 (60034469)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 俊也 広島大学, 生物生産学部, 助手 (00253120)
山本 民次 広島大学, 生物生産学部, 助教授 (40240105)
上 真一 広島大学, 生物生産学部, 教授 (80116540)
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Keywords | カキ養殖 / 沈降フラックス / 底質 / 有機態炭素 / 有機態窒素 |
Research Abstract |
本研究では、カキ養殖の沈降フラックスと底質への影響を養殖筏からの距離ごとに全観測平均値で評価した。また、カキの排泄物の発生負荷量と養殖筏下の粒状沈降フラックスとの関係を明らかにし、その結果を基に、いかにすれば低負荷カキ養殖を実現できるのかを現場の養殖筏を事例として試算した。 カキ養殖筏直下と筏端から長軸方向に10m、40m、100m地点の粒状物、粒状態窒素、炭素沈降フラックスを測定した。同時に、同じ地点で採泥を行い、硫化物量(AVS-S)、有機炭素・有機窒素含有量を測定し、筏からの距離ごとの全観測平均値を比較した。また筏下の混濁物食性生物の排泄物量調査結果(荒木ら,1971)を用いて排泄物発生負荷量を推定し、実測した筏直下での粒状物沈降フラックスとの関係を求めた。 粒状物沈降フラックス、粒状態窒素沈降フラックス、粒状態炭素沈降フラックスの全観測平均値は筏直下の値が100m地点の値の1.16〜2.61倍になった。排泄物発生負荷量は筏直下の粒状態沈降フラックスの全観測平均値の3.82倍と試算された。底泥中のAVS-S、有機窒素含有量、有機炭素含有量も筏直下の値が100m地点の1.20〜1.94倍の1.20〜1.94倍になった。また、これらの底質は沈降フラックスと正の相関関係を持つことが明らかになった。 水産用水基準にあるAVS-S基準値を基に底質を正常に維持できる粒状物沈降フラックスを求め、この沈降フラックスに対応するカキ付着器数を求めると筏あたり2.19×10^4個となり、計算された付着器数は現場のカキ着器数の76%となった。したがって現状の付着器数を24%削減しない限り、現場の底質は悪化し続けると思われる。しかし、底泥中の微生物バイオマスは筏直下で100m地点より大きいので、カキ筏由来の沈降物の影響は微生物活動により、低減されているようである。
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