1997 Fiscal Year Annual Research Report
有毒・有害微細藻の遺伝子マーカーによるバイオセンサーの開発と利用
Project/Area Number |
07456096
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
内田 有恆 京都大学, 農学研究科, 教授 (50027190)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
広石 伸互 福井県立大学, 生物資源学部, 教授 (00114190)
吉永 郁生 京都大学, 農学研究科, 助手 (40230776)
佐子 芳彦 京都大学, 農学研究科, 助教授 (60153970)
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Keywords | バイオセンサー / 遺伝子情報 / モノクロナル抗体 / 18SrDNA / 5.8SrDNA / Alexandrium tamarense / Gymnodiniummikimotoi / フローサイトメーター |
Research Abstract |
本研究では、有毒・有害微細藻類がもつ独特の遺伝子情報を検索することにより、より有効なバイオセンサーを開発し利用しようとするものである。また、微細藻類に特異的なモノクロナル抗体を用いることにより、有毒・有害微細藻類が発生する際のバイオセンサーとしての利用性をもさぐることを目的とする。 1996年度において得られた研究実績は以下の通りである。 ○Alexandrium属8種およびその他の渦鞭毛藻、ラフィド藻、緑藻、ユ-グレナ藻、珪藻、ハプト藻のリボソームRNA遺伝子の比較をおこなった。 ○Alexandrium属4種22株の5.8SrDNAおよびスペーサー(ITS1、2) 領域のPCR増幅産物をすべてクローニングした後に塩基配列を決定したところ、日本産とアメリカ産A.temarense株8株とアメリカ産A.fundyense株は、その増幅産物の異なる2種のDNA断片をほぼ1:1の割合で保持していることが明らかになった。 ○A.tamarenseとA.catenellaのITS1の3′末端領域おアンチセンス鎖にそれぞれ相補的なPCRプライマーTF1またはCF1とITSプライマーを用いて本属6種の培養株より精製した全DNAを鋳型としてPCRをおこなったところA.tamarenceとA.catenellaの種特異的な増幅シグナルを得ることに成功し、これらプライマーを用いることにより両種を簡便に識別することを可能にした。 ○Gymnodinium mikimotoiの細胞からPCR法によって得た18SrDNA領域の塩基配列を他の渦鞭毛藻のそれと比較した結果、Prorocentrum micansと97%、Symbiodinium属各種と約94%の相似性が認められた。 ○G.mikimotoiは得られた各株の塩基配列を比較した結果、一般的には保存性が低いといわれている1/D2領域を用いても株間での違いをみとめることはできなかった。 ○本研究で開発したモノクロナル抗体M8751-1を用いてそのA.tamarenseとA.catenellaの各株への反応性を調べたとこと種間の識別がフローサイトメーターを用いることにより可能であることを明らかにした。また、天然のA.tamarense細胞をふくむ海水を免疫細胞分画手法を用いることにより認識できることを明らかにした。
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[Publications] I.Yoshinaga et al.: "Analysis of algicidal ranges of thebacteria killing the marine dinoflagellate Gymnodiniummikimotoi isolted from Tanabe Bay,Wakayama Pref.,Japan" Fisherie Science. 63. 94-98 (1997)
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[Publications] 佐子芳彦: "モノクローナル抗体およびリボソーマルRNA遺伝子のよる有毒微細藻の分子識別" 海洋. 29. 725-731 (1997)
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[Publications] M.Adachi et al.: "Analysis of Gymnodinium catenatum Dinophyceae using sequences of the 5.8S rDNA-ITS regions and randomamplified polymorphic DNA" Fisheries Science. 63・5. 701-731 (1997)
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[Publications] T.Yoshikawa et al.: "Molecular cloning and nucleotide sequence analysis of the gene coding for chloroplast-type ferredoxin from the dinoflagellates Peridinium bipes and Alexandrium tamarense." Fisheries Science. 63・5. 692-700 (1997)
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[Publications] 吉永郁生: "赤潮の動態に関る従属栄養細菌の分子生態学的研究" 日本水産学会誌. 63・4. 502-505 (1997)
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[Publications] M.Shinet al.: "Phylogenetic analysis by 16S rRNA gene seqauncing of obligate oligotrophs isolated from the Northern Basin of Lake Biwa(mesotrophic lake)." Microbes and Environments. 12・2. 27-36 (1997)
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[Publications] Y.Ishida et al.: "Algal Blooms,and Toxins" Progress in Microbial Ecology, 568 (1997)