1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07456104
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
吉田 昭治 新潟大学, 農学部, 教授 (80018530)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 俊郎 新潟大学, 農学部, 助教授 (40018544)
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Keywords | 暗渠排水 / 定常・非定常・浸透流解析 / 流線の数値解析 / 有限要素法 / 飽和-不飽和浸透解析 / TDR土壌水分計 / 水田の地耐力 / コーンペネトロメータ |
Research Abstract |
1.暗渠排水による浸透流の数値解析において,ポテンシャルのみでなく,流線も数値解で得られれば,水田浸透の総合的な分析に役立つ.そこで先ず,等方で成層をなす浸透場の等ポテンシャル線と共に流線を有限要素法による数値解析で求める一般的方法を提示した. 2.暗渠排水による湛水定常浸透流の数値解析を,作土,耕盤など土層毎の透水性の違いを考慮して,暗渠より下方に地下水面がある条件で行った.この場合,暗渠壁よりも地下水面のポテンシャルが低いため,心土の透水係数が耕盤の透水係数より大きいときは,田面からの浸透量の大部分は地下水に直接流入し,暗渠による排水はほとんど期待できない. 3.湛水深一定の定常浸透流で,暗渠下方の田面より1.0m深に一定の水圧がある場合,田面からの浸透流は下方の定圧面への直接の流入と,暗渠への流入とに別れ,さらに定圧面から上昇して暗渠へ流入する流れも生ずる.このように流れの領域を3分割するような仕切りの流線は流線の数値解によって初めて得られた. 4.暗渠下方の水圧が実測で特定できない場合,1.0m深に一定の地盤浸透量を与えることによって,実際的な数値解を求める方法が開発された.この場合,田面からの浸透流は下方への地盤浸透と暗渠への流入に2分され,地盤浸透量が小さいほど暗渠排水量の割合が多くなる. 5.TDR土壌水分計による土層別の水分計測と,コーンペネトロメータによる層別の地耐力測定の併用によって,土層毎に土壌水分とコーン指数との間に明瞭な線形関係があることが明らかにされた. 6.新通り附属農場の水田断面をモデルに,落水後の非定常浸透流の飽和・不飽和解析を行った.これによって,各点の地下水位の低下速度や水分減少,暗渠排水量の時間的減衰曲線などが水田の実体と整合的に得られた. 以上により,現実の水田の諸条件に合わせて,大区画水田の暗渠排水の定量的設計が可能となった.
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