1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07456123
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
丹羽 晧二 岡山大学, 農学部, 教授 (40089115)
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Keywords | 豚 / 卵成熟 / 体外受精 / 雄性前核 / 卵胞細胞 / 上皮成長因子 |
Research Abstract |
豚卵子の体外受精におよぼす体外成熟と受精の条件に関して下記のような実験を行った。 1.未熟卵子の細胞質成熟におよぼす上皮成長因子(EGF)と性腺刺激ホルモン(GTH)の相乗効果について調べた。 血清の代わりにポリビニルアルコール(PVA;1mg/ml)添加したTCM-199Bに、PMSG+hCGとEGFの両者あるいはいずれか一方を添加し、卵胞細胞(FC)付着卵子あるいはFC除去卵子を48時間成熟培養した。その後、凍結-融解精子を用いて授精し、14時間後に侵入卵の雄性前核(MPN)形成率を調べた。その結果、EGFは添加濃度(1-100ng/ml)にかかわらず、FC付着卵子のMPN形成を有意に促進した。このMPN形成促進効果は、EGFよりもGTHにおいて大きく、両者の共存下で相乗効果が認められた。一方、FC除去卵子では、EGFとGTHのいずれにおいてもMPN形成の刺激効果は認められなかった。これらの結果から、EGFとGTHの両者による細胞質成熟の促進効果は、FCにより仲介されることが示唆された。 2.システイン(ST)の細胞質成熟促進効果について、それが有効に作用する成熟過程の特定の時期について調べた。未熟卵子を培養開始から種々の時間STを添加したTCM-199Bで培養し、その後ST無添加培地で計48時間培養した結果、体外受精後のMPN形成率は、36時間区(75%)において0-24時間区(31-39%)よりも高かったが、48時間区(90%)よりも低かった。逆に、培養開始後の種々の時間からシステイン存在下で培養した結果、0-36時間後のST添加において、安定した高いMPN形成率(85-92%)が得られた。培養開始36時間以降にSTを添加した場合、36-42時間の範囲内では、MPN形成率(86-90%)に差は認められなかったが、45時間では有意に低下した(60%)。これらの結果から、STの細胞質成熟促進作用の発現は、卵子の成熟段階に依存していることが示唆された。
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