1997 Fiscal Year Annual Research Report
転移好発性固形腫瘍の分化誘導療法に関する基礎的ならびに臨床的研究
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07456141
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Research Institution | THE UNIVERSITY OF TOKYO |
Principal Investigator |
佐々木 信雄 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (60107414)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廉澤 剛 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 講師 (70214418)
望月 学 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (90261958)
西村 亮平 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (80172708)
中山 裕之 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (40155891)
辻本 元 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (60163804)
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Keywords | 分化誘導 / 犬骨肉腫細胞 / ビタミンD / TGF-β / BMP-2 / ALP活性 / オステオカルシン / レチノール |
Research Abstract |
本研究の目的は、小動物の転移好発性の悪性固形腫瘍に対し、腫瘍殺滅を主体とする副作用を伴う従来の治療法に代わり、腫瘍自体の悪性度を人為的にコントロールする分化誘導療法が治療法となりうるか否かを追求することにある. 第一に、このような腫瘍に対する従来の治療成績をまとめ、総説としてその一部を発表したが、これは日本におけるデータがほとんどなかったためであり、その結果、諸外国で報告されている成績とほぼ同様であることが明らかとなった.同時に、これらの腫瘍から細胞株の樹立を試み、すでに骨肉腫、肥満細胞腫、乳腺癌など、多くの腫瘍細胞を樹立した(骨肉腫-既発表および掲載予定、肥満細胞腫-投稿準備中、乳腺癌-投稿準備中).これらはいずれももともとの組織と高い相同性を有しており、今後この分野の研究だけでなく、腫瘍研究に広く用いられるものと考えられる. 最も初期に樹立した犬の骨肉腫細胞に対し、ビタミンD3、TGF-β、BMP-2といった生理活性物質を用いてin vitroでの分化誘導を試みた.その結果、これらの物質は程度の差はあるものの、骨芽細胞の指標となるALP活性、オスチオカルシン濃度、FTH応答性cyclic-AMP濃度、I型コラーゲンなどをいずれも増加させた.また、電顕所見等から、これらの物質による分化誘導はアボトーシスを介して生じることが示唆された. 一方、より分化した細胞ほど抗ガン剤、放射線に感受性を示すが、これらの物質によって分化誘導された細胞はいずれもこれらの治療法に対する感受性を増加させた.これらの結果は、きわめて悪性度が高い骨肉腫がin vitroではあるが、これらの生理活性物質によって分化が亢進する可能性を示唆しており、今回の研究ではできなかったが、in vivoの系、あるいは実際の症例を用いて検討する価値があると考えられた. 現在、新たに2種の骨肉腫細胞を用いて、最近注目されているレチノール系薬物による分化誘導を検討しており、すでに良好な結果が得られ、今春に学会発表予定である.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 廉澤 剛: "小動物腫瘍の診断と治療" 日本獣医師会雑誌. 48. 735-742 (1995)
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[Publications] 伊東輝夫: "Prognosis of malignant mammary tumor in 53 cats" J.Vet.Med.Sci.58. 723-726 (1996)
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[Publications] 高橋朋子: "Inhibitory effects of glucocorticoids on proliferation of canine mast cell tumor" J.Vet.Med.Sci.59. 995-1001 (1997)
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[Publications] 洪 性赫: "Establishment and characterization of two cell lines derived from canine spontaneous osteosarcoma" J.Vet.Med.Sci.60 (in press). (1998)