1996 Fiscal Year Annual Research Report
光合成単細胞真核生物(エ-グレナ)プロテインキナーゼCの機能解析と分子進化
Project/Area Number |
07456149
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Research Institution | KOBE UNIVERSITY |
Principal Investigator |
南森 隆司 神戸大学, 農学部, 助教授 (00180555)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
王子 善清 神戸大学, 農学部, 教授 (90031195)
深見 泰夫 神戸大学, 遺伝子実験施設, 助教授 (00156746)
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Keywords | PROTEIN KINASE / PROTEIN KINASE C / AGC-PROTEIN KINASE / EUGLENA GRACILUS / PROTISTA / MOLECULAR EVOLUTION |
Research Abstract |
細胞内情報伝達過程において蛋白質リン酸化酵素(プロテインキナーゼ)は重要な役割を演じている。プロテインキナーゼは5つのグループに分類されるが、その中でも、主にセカンドメッセンジャーと呼ばれる分子を情報仲介役として必要とするAGCキナーゼグループは特に多種多様な機能、制御機構を持ち、生命の維持を司る主要なものであるといえる。哺乳類や酵母ではその構造、機能などの研究は進展しているが、植物や原生生物などにおいては未知の部分が多い。そこで本研究では、分類学上動物、植物の双方に位置する原生生物、Euglena gracilisを材料とし、AGCキナーゼファミリー遺伝子に注目し、進化の道筋をその根源的な形を有する生命体までさかのぼることによって、その原始的な存在状態を解析することを目的とした。 既知のプロテインキナーゼにおける相同性の高いアミノ酸配列領域に基づいて設計されたオリゴヌクレオチド混合プライマーを用いて、対数増殖期にあるEuglena gracilisより抽出したmRNAを鋳型として、Reverse Transcriptase Polymerase Chain Reaction (RT-PCR)を行った。得られたPCR産物をサブクローニングし、その塩基配列を解析した。さらにcDNAライブラリーを作成し、^<32>PでラベルしたRT-PCRプローブを用いプラークハイブリダイゼーションによるスクリーニングを行った。陽性クローンからプラスミドを回収し、インサートDNAの塩基配列を解析した。 RT-PCRの結果、12種類の異なるPCR産物を得た(PK-1〜-12)。いずれもAGCキナーゼファミリーと最も高い相同性が認められた。その内PK-8を用いてcDNAライブラリーからのスクリーニングを行った結果、挿入断片がそれぞれ1.6、1.4、2.5、1.6kbpの大きさの4種類のキナーゼクローン(EPK-3、EPK-4、EPK-16、EPK-19)を得た。そのキナーゼ触媒ドメインの部分配列はPKC、PKA、RACなどのAGCキナーゼと部分的に高い相同性が認められた。またこれらEPK遺伝子群に既存のAGCキナーゼを加えクラスター分析を行った結果、AGCキナーゼはPKA、PKC、RAC等のそれぞれがクラスターを形成したが、EPK遺伝子群はAGCキナーゼグループに対してアウトグループを形成した。これらのことからEPK遺伝子群はAGCキナーゼの起源的な構造を持つ可能性があることが示唆された。
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