1995 Fiscal Year Annual Research Report
光合成過程における化学エネルギーの生産・消費からみたCO_2固定反応調節機構
Project/Area Number |
07456151
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
窪田 文武 九州大学, 農学部, 助教授 (50136602)
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Keywords | 光合成 / 明反応系 / 暗反応系 / クロロフィル / 蛍光発光 / 炭酸ガス交換速度 / マングビーン |
Research Abstract |
本研究は、平成7年度が初年度であるが、既に同じ課題で2年間研究を行ってきており、今回の科学研究費補助金支給は研究の経過上3年目となる.前2年間の研究業績は既に報告済みであり、今年度は過去の業績を踏まえ、研究内容を深めた計画、実験実施を行った.まず、はじめに光合成の明反応系と暗反応系における化学エネルギー生産・消費の収支状況を個葉クロロフィルの蛍光発光と炭酸ガス交換速度の両者から解析するため、装置を改良した.蛍光発光は環境変化に対してきわめて鋭敏な反応を示すが、特に重要な点はこれと同時点で炭酸ガス固定速度を把握し、両者を対照して解析に用いることである.ここでは、サンプル空気中の炭酸ガス濃度を2.2秒間以内で測定できるようにし、蛍光反応とほとんど同時に炭酸ガス交換速度を測定することに成功した.本装置を使用し、マングビーン個葉を対象に、温度差および気孔抵抗の有無による蛍光反応(光化学系IIにおける電子伝達状況)と炭酸ガス交換速度の相互制御関係を解析した.その結果、気孔抵抗がない場合は、炭酸ガス交換速度と蛍光の光化学的消光とはきわめて高い相関関係(直線式)にあることが明かとなり、明暗両反応系のエネルギーの収支関係を明確にとらえることができた.一方、気孔制御下では両者は曲線的な関係となったが、これは葉肉細胞間隙の炭酸ガス濃度低下にともなう光呼吸用エネルギーの消費量増加がおもな原因であると考えられた.実験結果を検討する中で、ここで改良、使用した装置は、今後研究を進めるにあたって有力な手段となることが確認された.なお、この結果は、日本作物学会に論文として投稿済みである.
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