土壌槽試験における土の変形・応力測定/算定オンライン・システム

1996 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 07456157
• Research Institution: KYUSHU UNIVERSITY
• Principal Investigator: 橋口 公一 九州大学, 農学部, 教授 (10038250)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 山中 捷一郎 九州大学, 農学部, 助手 (20038251) ; 井上 英二 九州大学, 農学部, 助教授 (00184739) ; 上野 正実 琉球大学, 農学部, 助教授 (50145546)
• Keywords: 土壌槽 / ひずみ / 応力 / 画像解析 / 計測システム / オンライン

Research Abstract

圃場機械や土工建設機械の研究においては,作業の結果,その対象となる土に生じる変形,応力状態を把握することが重要であり,旧来より石灰マ-カ法,X線照射法,縞模様印刷のメーンブレーン法等が用いられているが,いずれも測定精度,変形許容範囲の限界等の難点が存在する.本研究では,先に代表者らが提案したクロス(十字)または黒丸を描いた直径約5mmのポリエステル製のマ-カを多数土槽の透明な内壁に配置し,土に追随するこれらのマ-カの動きを観察することにより土の2次元変位を測定する“マ-カ法"の実用化に向けて究明を行い,以下の結果を得た.
1.前年度に開発したラインシフトカメラ撮影に基づく画像処理システムにより有限要素法の概念に従って分割した土壌槽内の各要素内のひずみ(増分)を計測,算定するプログラムの不備な面の補正を重ねて実用プログラムとして完成した.
2.これらの各要素内のひずみ増分を,本研究の代表者が提案した硬・軟化,初期・誘導異法性,滑らかな弾塑性遷移等を考慮した『下負荷面モデル』に基づく土の弾塑性構成式に導入して応力増分を算定/集積して,各要素内の応力を算定する実用プログラムを作成した.
3.以上の変位,ひずみ(増分)および応力の計測/算定過程を自動化して,これらを土壌槽試験において瞬時に出力し得るようオンライン化を実現した.
4.以上に開発したマ-カ法を車輪走行実験に適用した結果,土中変位,ひずみ(増分)および応力の自動測定/算定法として十分実用に耐え得ることが実証された.
なお,このマ-カ・ラインシフトカメラ法は,土構造物に限定される条件は見当たらず一般材料構造物の2次元有限変形の計測に適用できると考えられる.特に,本法は,微小変形から大(有限)変形にわたる広い変形状態に適用できる点に大きな利点を有している.

Research Products

• [Publications] 鹿内健志,上野正実,橋口公一: "車輪走行による土の締め固め現象-画像処理による土の変位の計測" 農業機械学会九州支部誌. 第45号. 8-11 (1996)
• [Publications] 鹿内健志,上野正実,橋口公一,大嶺政朗: "車輪のけん引力変動現象について" テラメカニックス. 17号(印刷中). (1997)
• [Publications] 上野正実,鹿内健志,大嶺政朗,橋口公一他1名: "走行車輪の沈下挙動に関する基礎研究" テラメカニックス. 17号(印刷中). (1997)
• [Publications] 鹿内健志,上野正実,橋口公一,能勢行則他1名: "走行車輪下の土の変形の精密計測" 農業機械学会誌. 59巻2号(印刷中). (1997)