1996 Fiscal Year Annual Research Report
心筋L型Caチャネル開閉機構のリン酸化およびカルシウムによる修飾
Project/Area Number |
07457013
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
大地 陸男 順天堂大学, 医学部, 教授 (10049025)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立山 充博 順天堂大学, 医学部, 助手 (30276472)
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Keywords | カルシウムチャネル / パッチクランプ / リン酸化 / カルシウム |
Research Abstract |
リン酸化および細胞内Caによる心筋のL型Caチャネルの単一チャンネルの開閉様式の変化を、パッチクランプ法で解明するのが本研究の目的である。最近、パッチクランプ法の複雑さや困難さと対照的に、チャネル機能を分子的な構造にもとずいて解明する研究手段が急速に一般化してきた。そこで我々は、まず分子生物学的な手段を応用して実験条件の単純化を目指すことにした。心筋のL型チャネルのリン酸化部位はαサブユニットのC端の細胞内ドメインにあると想定されるが、βサブユニットのリン酸化も寄与する可能性がある。これらチャネルの複数の部位のリン酸化が、利用率と開確率という別のカテゴリーの増大を個々にもたらす可能性がある。昨年度までに判明したDHP系Ca拮抗薬およびCaアゴニストの作用のcAMPによる増強効果も、βサブユニットやこれら薬物のチャネル結合部位の構造も考慮して検討する必要がある。培養心筋のβサブユニットをアンチセンスで処理することを目的として準備を開始した。ウサギ心室筋の培養を3週まで行って、各種チャネル電流の培養による変化を検討した。内向き整流性K電流は次第に消失したが、L型Caチャネルの密度は不変であり、β受容体刺激も有効に維持された(生理学会発表予定)。細胞内CaによるCaチャネルの修飾の実験についても、培養心室筋細胞がCa濃度の測定に有望であることが判明した。すなわち、L型Mn電流によるFura-2蛍光のクエンチングが明らかとなった(米国生物物理学会発表予定)。細胞内Caによる調節にはCAMKIIの関与の可能性があり、この信号伝達系のアンチセンスによる不活性化実験がありうる。これらのより単純化され、安定した実験系で、ホールセルついで細胞接着型のパッチクランプ実験を行い、開閉様式の変化を分子構造の修飾に対応させて、最終的な成果を来年度まとめる予定である。
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[Publications] Ishihara,K.: "The tetravalent organic cation spermine causes the gating of the IRK1 channel expressed in murine fibroblast cells." J.Physiol.(Lond.). 491. 367-381 (1996)
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[Publications] Ochi,R.: "Modulation of single cardiac L-type Ca^<2+> channels by phosphorylation and a dihydropyridine Ca^<2+> agonist." Molecular and Cellular Mechanisms of Cardiovascular Regulation. Endoh,Metal (Edo) Springer-Verlag. 243-254 (1996)
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[Publications] 大地陸男: "心臓・血管系のチャネル---循環の調節機構。" 曽我部正博編:イオンチャネル電気信号を作る分子 共立出版. 162-175 (1997)
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[Publications] 大地陸男: "心筋の活動電位、ペースメーカー電位およびQT延長のイオン機序。" 順天堂医学. 42. (印刷中) (1996)
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[Publications] 大地陸男: "血管内皮細胞のCl-チャネル---その電気的性質と細胞機能における役割---。" 血管と内皮. 6. 286-293 (1996)
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[Publications] Gupte,S.A.: "Superoxide and nitroglycerine stimulate release of PGF_<2α> and TxA_2 in isolated rat heart" Amer.J.Physiol.271. H2447-H2453 (1996)