1995 Fiscal Year Annual Research Report
顆粒球コロニー刺激因子による好中球の増殖、分化機構
Project/Area Number |
07457014
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
長田 重一 大阪大学, 医学部, 教授 (70114428)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 宏 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 第一研究部, 研究員 (90260174)
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Keywords | 顆粒球コロニー刺激因子 / サイトカイン / 受容体 / シグナル伝達 / チロシンリン酸化 / 好中球 / 細胞の増殖、分化 |
Research Abstract |
顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)は好中球前駆細胞に作用し、その増殖を促進するとともに分化を誘導する因子である。この因子の受容体(G-CSF受容体)cDNAを本来G-CSFに応答しない種々の細胞株に導入し、その形質転換細胞のG-CSFに対する応答性を検討した。その結果、T-細胞株ではG-CSF受容体のシグナルは伝達されないのに対し、インターロイキン(IL)-3依存性のプレB細胞や骨髄性白血病細胞株では、受容体から細胞増殖のシグナルが伝達された。しかも、一つの骨髄性白血病細胞株では、増殖のシグナルばかりでなく、細胞分化のシグナルも伝達されることが示された。次いで、G-CSF受容体の細胞質領域に種々の変異を導入し、G-CSF受容体からの増殖シグナルには、細胞質領域のうちN-末端側約80アミノ酸が必須であり、また分化のシグナルには、C-末端側約100アミノ酸が必要であった。ところで、G-CSF受容体はG-CSFの結合によりチロシンリン酸化される。G-CSF受容体には四コのチロシン残基が存在するが、これらはC末端側、分化のシグナル伝達に必要な領域に位置している。そこで、これらチロシン残基を一個づつフェニルアラニンに置換した変異体を作製した。その結果、好中球特異的酵素ミエロペルオキシダーゼ遺伝子の発現や、核の分様など細胞の形態変化の誘導には、Tyr-703、Tyr-728が必須であるのに対し、Tyr-763は細胞内54KDaタンパク質のチロシンリン酸化に必須であった。以上の結果はG-CSF受容体からの増殖、分化のジグナル伝達には、チロシンリン酸残基を含む、特異的な領域が関与していることを示唆している。
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[Publications] Yoshikawa,A.et al.: "Distinct signal transduction through the tyrosine-containing…" EMBO J.14. 5288-5296 (1995)
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[Publications] Nagata,S.and Golstein,P.: "The Fas death factor" Science. 267. 1449-1456 (1995)
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[Publications] Enari,M.et al.: "Involvement of an ICE-like protease in Fas-mediated…" Nature. 375. 78-81 (1995)
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[Publications] Enari,M.et al.: "Apoptosis by a cytosolic extract from Fas-activated cells" EMBO J.14. 5201-5208 (1995)
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[Publications] Tanaka,M.et al.: "Expression of the functional soluble from of human…" EMBO J.14. 1129-1135 (1995)
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[Publications] Ogasawara,J.et al.: "Selective apoptosis of CD4CD8 thymocytes by the…" J.Exp.Med.181. 485-491 (1995)