1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07457028
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
永田 昭久 東京大学, 医学部, 講師 (50155933)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 浩士 東京大学, 医学部, 助手 (80262020)
神野 茂樹 東京大学, 医学部, 助手 (10251224)
岡山 博人 東京大学, 医学部, 教授 (40111950)
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Keywords | pat1 / G1期 / 異種・同種生物間遺伝子相補クローニング / rsv1 / nrd1 / 細胞分化 / Rod1 |
Research Abstract |
分裂酵母のpat1温度感受性変異株を宿主とした、異種・同種間生物遺伝子相補クローニング法により、増殖と分化のスイッチングに関与する遺伝子の単離・解析を進めている。今年度は、以下の結果を得た。 1.rsv1(Ihg72)の機能解析 rsv1は、2つのZinc Fingerモチーフを持ち、A.nidulansのCREA、出芽酵母のMIGや動物細胞のEgr-1/NGF1-A転写因子とホモロジーのある分子量47KDの蛋白質である。野生株では、rsv1の発現は、グルコースの枯渇によって誘導され、cAMP経路上で、負に制御されていることが判明した。一方、この遺伝子の破壊株は、グルコースの枯渇により致死となる。更に、adh遺伝子の発現制御にrsv1が関与していることが明らかとなり、静止期において、rsv1が酵母の生存に重要な遺伝子であることが判明した。 2.Isg69の機能解析 Igs1もrsv1と同様に2つのZinc Fingerを持つ転写因子である。この遺伝子の破壊株は、野生株に比べて、生育が遅くなる。この生育の遅れは、細胞分裂の際に、片方の細胞が生育できないことに原因していることが明らかとなり、Isg1が細胞分裂に重要な働きをしていることが判明した。 3.Rod1の機能解析 分裂酵母の細胞分化を制御する因子nrd1及びそのラットホモローグであるRod1遺伝子は、3つのRNA結合ドメインを持つ蛋白質をコードする。今回、Rod1の組織での蛋白質の発現を検討した結果、発生初期では全ての組織で発現が見られたが、Adultでは、脾臓、胸腺、肺、骨髄、腎臓で高発現しており、他の臓器では、発現が見られなかった。このことから、器官過程で重要な役割を果していることが示唆された。更に、この遺伝子は、MAPキナーゼにより、燐酸化されうる領域が2カ所存在する。この領域の変異遺伝子の解析より、MAPキナーゼによる燐酸化制御を受けていることが判明した。
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[Publications] Hiroto Okayama: "Cell cycle control in fission yeast and mammals:Identification of new regulatory mechanisms" Adv.Cancer Res.69. 17-62 (1996)
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[Publications] 永田昭久: "血液・腫瘍科 Vol32:No2" 科学評論社, 184 (1996)
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[Publications] 永田昭久: "細胞周期制御の分子機構(蛋白質核酸酵素臨時増刊号 Vol41:No12)" 共立出版, 318 (1996)