1995 Fiscal Year Annual Research Report
ピリドキサール酵素の触媒作用発現機構の解明をめざして
Project/Area Number |
07457031
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
鏡山 博行 大阪医科大学, 医学部, 教授 (80028555)
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Keywords | アスパラギン酸アミノ基転移酵素 / 芳香族アミノ酸アミノ基転移酵素 / 分枝アミノ酸アミノ基転移酵素 / イミノ基転移反応 / シッフ塩基 / ピリドキサールリン酸 / アミノ-芳香環相互作用 / X線結晶解析 |
Research Abstract |
アスパラギン酸アミノ基転移酵素(AspAT) ピリドキサール酵素共通の重要な反応中間体であるキノノイド構造の安定化要因を探るため,この中間体を蓄積するL-eryhro-3-ヒドロキシアスパラギン酸(HOAsp)とAspATの反応をストップトフロー分光計で追跡した。その結果,HOAspとAspATの反応によりキノノイド中間体とカルビノールアミン中間体の2つがほぼ等量蓄積すること,さらに両中間体がTyr70との水素結合で安定化されることが判明し,キノノイド構造研究の上で格好のモデルであるHOAsp-AspAT複合体の構造を明らかにすることが出来た。また,この構造より,Lys258-Tyr70-補酵素リン酸基間のネットワークが反応遷移状態の安定化に寄与していることが示された。 芳香族アミノ酸アミノ基転移酵素(ArAT) ArATの基質認識部位の構造については,β-ヒドロキシアミノ酸と野性型およびY70F変異体を用いた研究により,ジカルボキシル基質のカルボキシル基結合部位であるArg292の近傍に芳香族基質側鎖の結合部位が存在することが示された。そこで,Arg292を他のアミノ酸残基に置換した酵素を作製して,その芳香族基質との反応の変化を調べたところ,Arg292のグアニジノ基の存在が基質芳香環の認識に重要であることが示された。 当初予定していた大腸菌ArATの結晶化は困難であることが判明した。そこで,種々の菌種のArATを検索したところ,Paracocus denitrificansのArATが質の高い結晶を形成することが判明し,本酵素のX線解析による立体構造解析・基質認識機構解明への道が開かれた。 分枝アミノ酸アミノ基転移酵素(BCAT) X線結晶解析のグループとの共同研究による本酵素の結晶解析は難航していたが,水銀誘導体による同型置換法に加え,セレノメチオニンを導入したBCATを作製してセレン原子をランドマークとすることにより2.5Åないし3.0Åの分解能の電子密度図を得ることができ,現在構造精密化を行っている。 芳香族L-アミノ酸脱炭酸酵素(AADC) 反応速度論的解析から,中性付近にpK_aを有する塩基が基質アミノ基の活性化に重要であることを見出だし,種々の残基についての部位特異的変異により,His192をその候補として絞り込むことができた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] H. Hayashi: "Reaction of Aspartate Aminotransferase with L-erythro-3-Hydroxyaspartate: Involvement of Tyr70 in Stabilization of the Catalytic Intermediates" Biochemistry. 34. 9413-9423 (1995)
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[Publications] K. Gekko: "A large compressibility change of protein induced by a single amino acid substitution" Protein Sci.5. 542-545 (1996)