1996 Fiscal Year Annual Research Report
C型インフルエンザウイルスの生態における遺伝子交雑の意義
Project/Area Number |
07457074
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Research Institution | YAMAGATA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
中村 喜代人 山形大学, 医学部, 教授 (00125775)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 勘悦 山形大学, 医学部, 教務職員 (60110673)
村木 靖 山形大学, 医学部, 助手 (00241688)
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Keywords | C型インフルエンザウイルス / 遺伝子交雑体 / 分子系統樹 |
Research Abstract |
C型ウイルスの遺伝子交雑の実態を把握する目的で、次の2つの方向から解析を進めている。(1)1988年から開始し、現在も継続中のC型インフルエンザのサーベイランスで分離されたウイルスの性状解析、(2)分子系統樹の遺伝子分節間での比較。それぞれの解析から得られた平成8年度の成績を以下に要約する。 1.1991年1月から翌年9月にかけて仙台市で分離された6株(宮城/3/91、宮城/6/91、宮城/9/91、宮城/1〜3/92)の7つの遺伝子分節の塩基配列を決定し、過去の分離株と比較した結果、これらのウイルスが1981年に中国でブタから分離されたウイルス(P/B/81)に酷似していることが明らかになった。これにより、ヒトとブタの間でC型ウイルスの種間伝播が起こっていることが初めて証明された。さらに興味深いことに、これらのP/B/81関連株は1980年代に本邦に蔓延していた山形/81系統の抗原性を持つものの、PB2とNP遺伝子は独自の系統を形成していることが明らかになり、P/B/81関連株と山形/81系統のいずれかが遺伝子交雑体と推定された。 2.本邦及び海外で分離された25株のC型ウイルスのM遺伝子の全塩基配列を決定し、HE遺伝子の系統樹と比較した結果、次の2点が明らかになった。(1)山形/64、神奈川/1/76、宮城/77の3株は、青森/74系統のHE遺伝子と山形/81系統のM遺伝子を持つ交雑体である。(2)MS/80系統と愛知/81系統のHE遺伝子を持つ分離株のM遺伝子は、同じ系統に所属する。2つの系統間でかつてM遺伝子分節の交換が行なわれたことを示す知見である。 3.以上の成績から、C型ウイルスが、交雑により遺伝子の多様性を獲得している様子が益々鮮明になり、同ウイルスの進化に遺伝子交雑が本質的な役割を果たしている可能性が濃厚になってきた。
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[Publications] Muraki,Y.: "Evolution of the haemagglutinin-esterase gene of influenza C virus." J.Gen.Virol.77・4. 673-679 (1996)
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[Publications] Gao,P.: "Frequent occurrence of genetic reassortment between influenza C virus strains in nature." J.Gen.Virol.77・7. 1489-1492 (1996)
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[Publications] Hongo,S.: "Characterization of a second protein (CM2) encoded by RNA segment 6 of influenza C virus." J.Virol.77・4(印刷中). (1997)
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[Publications] Kimura,H.: "Interspecies transmission of influenza C virus between humans and pigs." Virus Res.(印刷中). (1997)