1996 Fiscal Year Annual Research Report
ポリオウイルスの翻訳開始機構に関与する宿主因子の解析
Project/Area Number |
07457081
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
豊田 春香 東京大学, 医科学研究所, 講師 (10197973)
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Keywords | ポリオウイルス / IRES / 宿主因子 / in vitro翻訳系 / UV-クロスリンク法 |
Research Abstract |
(1)IRES結合蛋白質の検索:IRES領域をその予想される2次構造から5つの領域に分けたRNA部分を調製し、それらRNAを用いて翻訳促進活性に関してcompetitionアッセイを行った。その結果、loop Vと呼ばれるRNA部分を添加することにより促進活性は阻害された。さらにUV-クロスリンク法により、loop Vと特異的に結合する蛋白質として上記したPTBに加え、36kDa(p36)及び80kDa(p80)の大きさを持つ分子の存在が確認された。p36は核蛋白質であるPCBP2であることが明らかとなった。現在p80蛋白質の同定を行っている。 (2)PTB結合蛋白質の検索:ポリオウイルスRNAの翻訳効率促進活性を示す高分子量複合体中で、PTB(polypyrimidine tract-binding protein)分子が重要な役割を果たしている可能性を支持する結果を得ている。そこでPTB結合蛋白質の検索を行う目的で、親水性の高い8アミノ酸からなるFLAGペプチド(IBI FLAG SYSTEM)をPTBのN末端に融合させたFLAG-PTB分子をconstitutiveに発現する種々のHeLa細胞株(FLAG-PTB HeLa)を樹立した。これら細胞核から活性画分を部分精製し、抗FLAGモノクローナル抗体により、FLAG-PTB分子と共に免疫沈降する分子の検索を試みたが、活性画分においてのみ特異的に沈降する分子を同定することは出来なかった。その理由として、今回用いた活性画分が、各細胞株から調製したRSWを精製の第1段階であるSephacryl-S300カラムによるゲル濾過後のフラクションであったため、活性複合体としての精製度が充分には高くなく、抗FLAG抗体ビーズに非特異経に吸着してしまう分子がかなり多かったためと考えられる。従って、ハイドロキシルアパタイトカラム等のアフィニティーカラムによりさらに精製した活性フラクションについて上記操作を行う必要があると考えられた。
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