1996 Fiscal Year Annual Research Report
LECラット(ウイルソン病モデル動物)の銅メタロチオネインによるDNA損傷と発癌
Project/Area Number |
07457092
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
小島 豊 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (50135555)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川西 正祐 三重大学, 医学部, 教授 (10025637)
蔵崎 正明 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助手 (80161727)
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Keywords | メタロチオネイン / LECラット / DNA損傷 / 発癌 / 銅 / 銅メタンチオネオン / ウィルソン病 / モデル動物 |
Research Abstract |
LECラット(Long-Evans with a cinnamon-like coat color)は,北海道大学実験生物センターで非近交系LE (Long-Evans)ラットより体毛色の違いによって分離されたラットであり,生後約4ヶ月で肝炎を,その後慢性肝炎に移行したものはすべて肝癌を発症し死亡する。 LECラットの肝臓中に、銅すなわち銅メタロチオネインなどが異常に蓄積すること,劇症肝炎での死亡をまねがれたLECラットが肝癌を必発すること,ある種の銅メタロチオネインが,共同研究者,川西のDNA損傷(切断)実験で遺伝毒性が陽性と判断されたことより, LECラットの肝臓中に蓄積している銅メタロチオネインを分離・精製・鈍化し,その各成分についてDNA損傷(切断)実験を行い,どの成分が癌を引き起こすのかを調べ,LECラットにおける発癌機構の解明に役立てることを目的としている。 研究実績として (1)銅メタロチオネインを,市販のカドミウム-,亜鉛-メタロチオネインより,金属置換法によって作成しDNA損傷実験を行った。銅メタロチオネインは,DNAを強く切断することが証明された。カドミウム-や亜鉛-メタロチオネインは,全くDNAを切断せず,銅メタロチオネインに特異的な性質であることが判明した。 (2)LECラットの肝臓から,銅メタロチオネインを,イソ蛋白質にまで,精製・分離・純化した。銅メタロチオネインは,従来の一般的な精製方法では,精製途中で,空気中の酸素により酸化され,銅が遊離し,充分な量の試料を集めることは不可能であることを判明した。 そのため,精製方法を根本的に検討し直し,精製を酸素との接触を避け短期間で行える,HPIC(高速液体クロマトグラフィー)を用いる方法を試みた。この方法が有効であり,新方法で充分な試料が得られることに成功した。 現在,この試料を用いて,DNA切断実験を行っている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Shinji OIKAWA他: "Oxidative and nonoxidative mechanisms of site-speclfic DNA cleavage induced by copper-containing" Biochemistry. 34. 8763-8770 (1995)
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[Publications] Masaaki KURASAKI他: "Copper replacement of cadmium-binding α-fragment of metallothionein experssed in Escherichia coll" Research Communication in Molecular Pathology and Pharmacology. 92. 225-232 (1996)
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[Publications] Tadasu EMOTO他: "Roles of the conserved senines of metallothionein in cadmum binding" Biochemical Genetics. 34. 239-251 (1996)
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[Publications] Masaaki KURASAKI他: "Independent self-assembly of cadmium-binding α-fragment of metallothinein in Escherichia coli without participation of β-tragment" Rrotein Engineering. 9. 1173-1180 (1996)
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[Publications] Rie YAMAGUCHI他: "A mutant methllothionein which has inverse fragment composition exhibits high cadmium-brrding ability" Biochemistry and Molecular Biology International. 41. 49-56 (1997)
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[Publications] Masaaki KURASAKI他: "Significance of α-fragment of metallothionein in cadmium-binding" Protein Engineening. 10. (1997)