1995 Fiscal Year Annual Research Report
脳卒中・虚血性心1疾患の発症要因としての血小板凝集能の意義に関する疫学的研究
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07457101
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
磯 博康 筑波大学, 社会医学系, 助教授 (50223053)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯田 稔 大阪府立成人病センター集検I部, 部長
嶋本 喬 筑波大学, 社会医学系, 教授 (50143178)
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Keywords | 血小板凝集能 / 飲酒 / 魚介類摂取 / 凝固線溶系 / 疫学調査 |
Research Abstract |
脳卒中、虚血性心疾患の危険因子として従来から、高血圧、高脂血症、喫煙の役割の大きいことが指摘され、粥状硬化の発症進展と関連づけて論じられてきた。しかし、それのみではなく、脳梗塞、心筋梗塞の発症には血栓形成にかかわる血液の凝固線溶系が重要な役割を果たす。我々はこれまでに血液の脂肪酸構成、血漿フィブリノーゲン等について疫学的に循環器疾患発症との関連を検討する一方、生活環境要因との関連を検討し、喫煙が血漿フィブリノーゲンに値を高めて血液凝固性を促進させること、魚介類の摂取は血漿フィブリノーゲン値の低下と、血糖中のω-3系多価不飽和脂肪酸の増加を介して血液凝固性を低下させること、飲酒も血漿フィブリノーゲン値の低下を介して血液凝固性を低下させることを明らかにした。 今回、血液凝固系における重要因子の一つである血小板凝集能に着目し、生活環境要因や他の循環器系諸検査との関連を疫学的に検討した。対象者は50-69歳男子で、従来から循環器疾患の疫学調査を継続している高知県沿岸農村134人、秋田県沿岸農村168人、茨城県内陸農村109人、大阪事業所勤務者164人である。 採血ならびに血小板凝集能の測定は各集団の循環器検診の場において実施した。機器はメバニクス社製PAM-8Tを使用し、凝集能としてADP4濃度(1.0,2.0,4.0,0.5又は8.0μM)を用いた。血小板凝集能以外の調査項目は年齢、身長、体重、血圧、皮脂厚、喫煙、循環器疾患の家族歴、血液検査(血糖、総コレステロール、HDL-コレステロール、トリグリセライド、GOT、GPT、γ-GTP、フィブリノーゲン等)ECG所見、眼底所見、食品摂取頻度(魚介類、肉類、大豆類、卵類、種実類)である。食品摂取頻度は検診時に栄養士により行った。 4集団を通じて共通に血小板凝集能と単相関により有意の関連を示したのは、年齢、魚介類摂取、飲酒の3つであった。喫煙は集団により一定の傾向を示さなかった。魚介類摂取と飲酒は血小板凝集能を抑制する方向に働き、年齢は促進する方向に働いた。4集団をプールして血小板凝集能を目的変数、年齢、魚介類摂取を説明変数とする重回帰分析を行ったが、これによっても上記のことが確認された。今回は4濃度での分析であるが、疫学研究をさらに進めるには最適1濃度による大量測定が必要であり、次年度にこの検討を行う。
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Research Products
(1 results)