1996 Fiscal Year Annual Research Report
家族性アミロイドーシスに対する生体肝移植療法の確立とその治療効果に関する検討
Project/Area Number |
07457124
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
柳澤 信夫 信州大学, 医学部, 教授 (00010025)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川崎 誠治 信州大学, 医学部, 教授 (80177667)
池田 修一 信州大学, 附属病院, 講師 (60135134)
|
Keywords | 家族性アミロイドーシス / 肝移植 / 生体部分肝移植 |
Research Abstract |
本年度は28歳と45歳の男性の家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)患者2名に対して生体部分肝移植を実施した。このうち前者のドナーは60歳の母親であったが、このドナーから得られたgraft肝の機能ならびに術後の成育パターンは他の若いドナーから得たgraftと全く変わらなかった。またドナー自体の術中、術後経過は極めて順調であり、60歳前後の高齢者でも全身状態が良好であるならば、生体部分肝移植のドナーになれることが明らかとなった。また過去3年間に生体部分肝移植を施行したFAP患者は合計で7名となった。この内生存している患者は術前経過が5年以内の5名であり、これらの患者は術後全て神経症状の改善を示しており、特に嘔気・嘔吐発作、消化管運動障害、起立性低血圧などの自律神経障害の改善が術後早期から見られた。一方、本移植手術後死亡した患者2名は術前経過が7年と10年と長く、アミロイドによる全身の臓器障害も高度であった。従ってFAP患者に対する生体部分肝移植は発病後出来るだけ早期に施行することが望ましく、罹病期間が5年以内が適応ありと考えられた。 FAP患者に対する肝移植が本疾患の進行を止め、アミロイドによる神経障害を回復させるという客観的所見は従来示されていない。そこで3年前に生体部分肝移植を実施したFAP患者において再度対側の腓腹神経生検を行い、術前に得た同神経との間で有髄神経線維密度の定量的評価を行った。その結果、有髄神経線維密度は1326/mm2から4740/mm2へと著しく増加しており、生体部分肝移植がFAPの根治的治療法であることが裏付けられた。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Ikeda S,Takei Y,et al.: "Partial liver transplantation from living donors in familial amyloid polyneuropathy." Amyloid : Int J Exp Clin Invest. (in press).
-
[Publications] Yazaki M,Ikeda S,et al.: "Complete neurological recovery of an adult patient with type II citrullinemia after living related parti liver transplantation." Transplantation. 62. 1679-1681 (1996)