1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07457149
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Research Institution | Kyorin University School of Medicine |
Principal Investigator |
小林 宏行 杏林大学, 医学部, 教授 (40086509)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 秀裕 杏林大学, 医学部, 助手
河合 伸 杏林大学, 医学部, 講師 (70204667)
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Keywords | アルギネート免疫反応 / 免疫複合体分析 / 抗biofilm作用 / マクロライド活性 |
Research Abstract |
1.アルギネートによる免疫反応の生体細胞に及ぼす作用 細菌biofilmの主成分であるアルギネート免疫マウスに対してbiofilm菌を経気管噴霧感染すると1〜4日後に抹消気道周辺にリンパ球集積が発生する。すなわちアルギネートを介した抗原抗体反応であり、これらリンパ球Subpopulationを分析した結果、その多くはCD-8^+、CD-11、細胞であることがわかった。またこれら抹消気道周辺での抗原抗体反応の反復はこれらリンパ球浸潤をろ胞形成へと進展させ、抹消気道の変形・狭細化など気質的障害を招来した。 2.免疫複合体の成分分析 ウエスタンブロット法を用い分析した結果、160KDに特異的バントがみられ、ほぼこの程度の成分であることが判明した。この物質は抗アルギネート抗体IgGを主成分としていることが判明したが症例によりその成分化には偏差がみられ、詳細な成分分析にまでは至っていない。しかしながら、免疫複合体肺組織に沈着すると補体を活性化し、誘導された好中球が免疫複合体に結合し、これら好中球からの遊離物質により肺組織破壊が生ずることが免疫蛍光法を用いたレーザー顕微鏡下の観察から強く推察された。 3.菌体内アルギネート合成酵素系への干渉作用 14員環および15員環マクロライドは緑膿菌菌体内におけるアルギネート合成酵素系のうち最終段階に位置するGMD酵素(guanosine diphosphomannose dehydrogenase)活性を阻害し、この結果アルギネート産生を阻害すること、また、biofilmの破壊作用があることが判明した。さらに構造活性面からこれらマクロライドを分析すると、マクロライド環に結合したmycaminoseあるいはdesosaminoseが露出した構造式を示すもののみが、これら抗biofilm作用を有することが解明された。このことがbiofilm diseaseに対するマクロライド有用性の基本になるものと考えられた。
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[Publications] Hiroyuki Kobayashi: "Biofilm Disease : Its Clinical Manifestation and Therapeutic Possibilities of Macrolides" The American Journal of medicine. 99. 26S-30S (1995)
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[Publications] Hiroyuki Kobayashi: "Airway Biofilm : Clinical Manifestations and Therapeutic Possibilities Using Macrolides" J Infect Chemother. 1. 1-15 (1995)
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[Publications] Kenji Nagino: "Influence of macrolides on mucoid-alginate biosynthetic enzyme from Pseudomonas aeruginosa" CLINICAL MICROBIOLOGY AND INFECTION.
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[Publications] 渡辺秀裕: "病原体と宿主のinteraction-緑膿菌alginateが生体に及ぼす影響" 医学のあゆみ. 172. 16-22 (1995)