1996 Fiscal Year Annual Research Report
接着分子遺伝子導入による腫瘍特異的細胞障害生T細胞誘導に関する分子免疫学的検討
Project/Area Number |
07457150
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Research Institution | Juntendo University School of Medicine |
Principal Investigator |
瀬戸口 靖弘 順天堂大学, 医学部, 助手 (90206649)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東 みゆき 順天堂大学, 医学部, 助手 (90255654)
吉良 枝郎 順天堂大学, 医学部, 教授 (20095011)
玉木 ゆみ 順天堂大学, 医学部, 助手 (60266046)
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Keywords | 遺伝子導入 / アデノウイルスベクター / 接着分子 / 細胞障害性Tリンパ球 / CD80 / CD86 / ICAM-I / 癌 |
Research Abstract |
平成7年度でリポーター遺伝子E.coli Lacz遺伝子、co-stimulatory分子CD80(B7-1、B7)、CD86(B7-1、B70)、ICAM-I、を発現するアデノウイルスベクターを作成した。リポーター遺伝子を使った癌細胞への遺伝子導入効率、また遺伝子導入後のco-stimulatory分子の発現の程度からCTL(細胞障害性Tリンパ球)を誘導する場合10MOI(multiplicity of infection)でおこなった。このような平成7年度の結果を基に平成8年度はCTLの誘導とその抗腫瘍活性について以下の点で検討した。1).CTLの誘導実験の前に癌細胞の腫瘍抗原の提示を行うMHCの発現の有無とMHCの発現が低い腫瘍にたいして、γ-インターフェロンで処理することでMHC発現を促進することが可能かまたアデノウイルスベクターでco-stimulatory分子を遺伝子導入した後、γ-インターフェロンを加えた場合の導入遺伝子の発現について評価検討した。本実験で使用したメラノーマ細胞株、肺癌細胞株すべての細胞に於いてMHCの発現が確認された。一方MHC発現の低い膵臓癌細胞株についてγ-インターフェロンを添加することでMHC発現が促進可能であることが示された。また遺伝子導入後γ-インターフェロンで処理することで導入遺伝子の発現に変化は認められなかった。2).メラノーマ細胞株に対するalloCTLの誘導と抗腫瘍活性の評価また手術検体肺癌細胞に対するautoCTLの誘導と抗腫瘍活性を評価した。更にIL2、IL12のCTLに対する効果の評価も行った。アデノウイルスベクターを用いたCD80(B7-1)、CD87(B7-2)の遺伝子導入された腫瘍細胞との5日間の混合培養によりマラノーマ細胞株に対するalloCTLはE/T40で平均60%と56%の抗腫瘍活性を、肺癌細胞に対するautoCTLはE/T40で平均45%と48%の抗腫瘍活性をそれぞれ示した。IL12の添加により各抗腫瘍活性は10%増強した。しかし、ICAM-I遺伝子導入した腫瘍細胞においてはCTLは誘導されなかった。また、IL2をCTL誘導後添加することでクローナルな増殖が確認された。また、メラノーマ細胞株と肺癌細胞株に対する抗腫瘍活性が認められた原因は肺癌細胞よりTGFβのようなリンパ球抑制因子の産生が考えられた。以上よりアデノウイルスベクターを使用することで短時間に強力なco-stimulatory分子の発現が可能となり、また、in vitroで腫瘍特異的CTLを誘導できる可能性が示唆された。今後、解決しなければならない課題はあるものの癌の養子免疫療法へ応用が期待される。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Setoguchi Y: "Induction of autologous CTL specific for lung cancer using adenovirus B7-1 (CD80) gene transfer" Hum Gene Ther.
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[Publications] Abe K: "In vivo adenovirus mediated gene transfer and the expression in ischemic and reperfused rat brain" Brain Research.
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[Publications] Osada S: "Amelionation of renal anemia in polycystic kidney mice by using adenovirus vector coding human enythnopoiel" Am J Physiol.
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[Publications] Fujihara M: "Decreased inducilde expression of CD80 and CD86 in human monocyte after ultraviolet-B irradiation" Blood. 87. 2386-2393 (1996)
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[Publications] Saito K: "Effect of CD80 and CD86 blockade and ant-IL12 treatment on mouse acute graft-versus-host disease" Eur J Immunol. 26. 3098-3106 (1996)
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[Publications] Bashuda: "Specific acceptance of cardiac allograft after treatment with artibodies to CD80 and CD86 in mice" Transplant Proc. 28. 1039-1041 (1996)
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[Publications] 瀬戸口靖弘: "アデノウイルスベクター 遺伝子治療の基礎技術" 羊土社, (1995)
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[Publications] 瀬戸口靖弘: "アデノウイルスベクター ウイルス実験プロトコール" メディカルビュウ, (1995)