1996 Fiscal Year Annual Research Report
ATP感受性Kチャネルの細胞内調節機構とその病態生理学的意義に関する研究
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07457165
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
平岡 昌和 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (80014281)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 裕司 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (00181181)
沢登 徹 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (00014217)
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Keywords | ATP感受性Kチャネル / チャネルのrundown / 細胞内ATP / アクチン細骨格 / ADP / アデノシン / プロティン・カイネース |
Research Abstract |
ATP感受性Kチャネル(K_<ATP>)は、細胞内ATPにより抑制される性質のチャネルであるが、一方でATPはチャネルを機能状態に維持するために必要とするなど、その細胞内調節機構は複雑である。さらに、ATP以外にもチャンネル機能を調節する因子があり、それらの作用機序もまだ十分解明されていないため、虚血に際して本当にこのチャネルが開口するのか否かもまだ疑問視されている。先ず、ATPの無い状態でチャネル活動が消失(rundown)し、これにMgATPを短時間投与した後これをとり除くとチャネルの再活性化が得られる。その機序としてリン酸化ではなくATPの加水分解が必要であることをすでに明らかにした。そこで、同様にATPの加水分解を要するアクチンの重合・脱重合がチャネル活性維持に関係するか否かを検討した。その結果、アクチンの脱重合を促進する薬剤によりチャネル活性は急速にrunddownし、actin重合促進ないしその安定化をもたらす処置により、rundown途中のチャネルを回復させたが、完全にrundownしたものには無効で、MgATPのみが有効であった。このことによりアクチンの重合・脱重合状態がチャネル活性維持に重要であることを明らかにした。K_<ATP>は細胞内ATPにより強力に抑制され、細胞膜パッチではmM以上では完全に閉じてしまう。このため虚血早期には5mM近くのATPが存在する心筋ではK_<ATP>は開口しないのではないかと考えられている。我々はパッチ膜記録でのK_<ATP>のrundownを抑制する方法を見出したので、この標本を用いるとpH低下・ADPの存在など虚血類似状態にすると1-2mM ATP存在下でもK_<ATP>が開口することを見出し、このチャネルが虚血早期から働くことを明らかにした。また虚血時に増加するアデノシンがK_<ATP>を開口させるか否か、またその機序は何か不明であるので、細胞内環境を維持するナイスタチン法を用いて検討した。その結果、アデノシンはA_2受容体を介し、プロティンカイネース活性化を介して働いている可能性を見出し、その細胞内機序を検討中である。
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[Publications] Hiraoka M,Sawanobori T.etal.: "Mechanism of openings and role of the ATP-sensitive K^+ channels during myocardial ischemia/reperfusion." Pathophysiology of Heart Failure. 427-437 (1996)
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[Publications] Furukawa T,...Hiraoka H.et al.: "Functional linkage of the cardiac ATP-sensitive K^+ channels to actin cytoskeleton." Pflugers Arch.431. 504-512 (1996)
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[Publications] Ishihara,K,Hiraoka M.et al.: "The tetravalent organic cation spermine causes the gating of the IRK1 channel expressed in marine fibroblast cells." J.Physiol.491. 367-382 (1996)
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[Publications] Hiraoka M.,Sawanobori T.et al.: "Function of cardiac ion channels under normal and pathological conditions." Jpn.Heart J.37. 693-707 (1996)
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[Publications] Hiraoka M.: "Pathological functions of the ATP-sensitive K^+ channels in myocardial ischemia" Jpn.Heart J.38(in press). (1997)
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[Publications] Hiraoka M.,Furukawa T.: "Functional modulation of the cardiac ATP-sensitive K^+ channels." News in Physiological Science. (in press).
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[Publications] Hiraoka M,Furukawa T,et al.: "Molecular and Cellular Mechanisms of Cardiovascular Regulation" Regulation of rundown and reactivation of cardiac ATP-sensitive K^+ channels., 83-91 (1996)
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[Publications] 平岡昌和: "細胞膜イオン電流-特にK電流を中心に。頻拍症" 西村書店, 51-66 (1996)
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[Publications] 平岡昌和: "Kチャネルの機能と構造-最近の話題" 呼吸と循環, 113-120 (1997)