1995 Fiscal Year Annual Research Report
発育期の脳の可塑性におけるセロトニンニューロン系に関する基礎的研究
Project/Area Number |
07457181
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
竹内 義博 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (80188169)
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Keywords | セロトニン / ドーパミン / 可塑性 / 発芽 / 組織化学 |
Research Abstract |
本研究では、発育期の脳にとって重要なカテコラミンニューロン系が生後早期に損傷された場合に見られる可塑性の機序について、セロトニンニューロン系に焦点をあてて、その動態を組織化学的に検討した。 生後3日・1週・2週・4週のラットの左側線条体-側脳室に6-OHDAを投与し(新生仔ラット群)、成熟ラットでは左側黒質-線条体路に6-OHDAを脳定位固定装置を用いて注入して(成熟ラット群)、ドーパミンニューロン系破壊動物を作製した。6-OHDAによるドーパミンニューロン系破壊の程度を評価し、一定の左側への回転運動を示す動物を選別した。6-OHDA投与後、2週・1カ月・4カ月・12カ月後にラットを灌流固定、凍結切片を作製し、抗チロシン水酸化酵素抗体、抗セロトニン抗体、抗GFAP抗体、抗S-100β抗体を用いて免疫組織化学を行った。免疫組織化学に供した隣接切片に対しNADPH-diaphoraseの酵素組織化学を行い、線条体を中心にNADPH-diphorase陽性細胞および線維終末の一部を観察した。各実験群の組織化学標本について、線条体を中心にドーパミンおよびセロトニン線維の分布密度を定量的に測定した。新知見としては以下の点が挙げられる。 1.セロトニンニューロン系のheterotypic sproutingの臨界期は、2週までである。 2.成熟ラットではセロトニンニューロン系のheterotypic sproutingは認められない。 3.新生仔期に見られるheterotypic sproutingは、少なくとも12カ月まで持続する。 本研究により、セロトニンニューロン系のheterotypic sproutingの臨界期、その継続性、新生仔脳と成熟脳との可塑性の違いに関する所見が得られた。これらは、モノアミンニューロン系の発育期の脳における機能的意義や、発育期と成長後における中枢神経系損傷後の機能的回復能の差の機序を解明する上で重要な所見である。
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