1997 Fiscal Year Annual Research Report
乳癌の乳房温存療法における高精度放射線治療システムの確立
Project/Area Number |
07457200
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
平岡 真寛 京都大学, 医学研究科, 教授 (70173218)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡嶋 馨 京都大学, 医学研究科, 助手 (90243021)
光森 通英 京都大学, 医学研究科, 助手 (10263089)
永田 靖 京都大学, 医学研究科, 講師 (10228033)
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Keywords | 乳房温存療法 / 局所再発 / CT-Simulation / ブ-スト照射 |
Research Abstract |
1)乳房温存療法の治療成績と局所再発例の検討 1987年から1996年の当院で乳房温存療法の放射線治療を行った698例について検討した。観察期間は1〜109ヶ月(中央値38ヶ月)、5年生存率、5年非再発生存率はそれぞれ99%、93%であった。局所再発は11例に認め、その危険因子は手術断端陽性であった。狭義の温存乳線内再発7例のうち4例はブ-スト照射施行例であり、これらはブ-スト照射野の辺縁に再発がみられた。これらの症例では原発腫瘍の位置、及び、大きさを基準にブ-スト照射野が設定されており、手術断端が十分に含まれていなかった可能性がある。手術断端を正確に同定した上でブ-スト照射野を設定することが重要である。この結果を踏まえて、1995年より乳房温存療法の手術時に切除断端に金属製のクリップを留置しブ-スト照射野を決定する試みを開始している。現在までに局所再発例はなく有効と考えられるが、まだ観察期間が十分ではなく今後の検討課題である。 2)乳房温存療法の放射線治療における至適エネルギーの検討 乳房温存療法放射線治療においては、治療成績の向上、副作用の軽減の面から症例毎に最適なエネルギーを選択することが望ましい。1995年8月から12月までに当院で乳房温存療法の放射線治療を受けた24人を対象に、CTシミュレータを用いてコバルトγ線と6MVX線による線量分布の違いを検討した。アイソセンター面で前胸部正中線と患側後腋窩線との距離が17.5cm以下では6MVXを用いた時に皮膚表面直下の乳線組織に十分な線量が与えられなかった。一方、19.5cmを越えるとコバルトγ線では10%以上の高線量域が有意に多くなり、副作用の発現頻度が多くなることが予想された。
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[Publications] 小久保雅樹, 平岡真寛 他: "乳癌の乳房温存療法における高精度放射線治療システムの確立" INNERVISION. 12. 19 (1997)
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[Publications] 小久保雅樹, 平岡真寛 他: "乳房温存療法の治療成績-京都大学での経験-" 乳癌の臨床. 12. 678-649 (1997)
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[Publications] 光森通英, 平岡真寛, 児玉宏: "乳癌の手術I:乳房温存療法" 金芳堂, 93 (1998)