1995 Fiscal Year Annual Research Report
近赤外光による非侵襲的腫瘍内酸素濃度測定とその画像診断システムの開発研究
Project/Area Number |
07457203
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
母里 知之 東海大学, 医学部, 教授 (70055896)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沓澤 智子 東海大学, 医学部, 講師 (10183310)
灰田 宗孝 東海大学, 医学部, 講師 (20208408)
玉井 好史 東海大学, 医学部, 助手 (90207225)
大泉 幸雄 東海大学, 医学部, 講師 (30024813)
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Keywords | Near-infrared light / Hypoxic cells / Nicotinamide / Carbogen |
Research Abstract |
【目的】放射線治療の抵抗性因子として腫瘍内の低酵素性細胞がある.近年血管の閉塞により生じる一過性の低酸素性細胞(acutely hypoxic cells)にNicotinamide (NA)が有効であることが報告され,欧米ではこのNAにdiffusion-limited chronically hypoxic cellsに有効であるとされるCarbogen (95%O_2,5%CO_2)を併用した放射線治療の臨床試験が進行中である.腫瘍内酸素濃度は組織に微小酵素電極を刺入しポーラログラフィー法により測定されているが,このような侵襲的測定法の国内での普及性は乏しいと考える.そこで我々は,悲侵襲的な腫瘍組織酸素代謝測定を目的として近赤外レーザー光を用いた測定装置の導入を試みている.基礎実験としてマウスにおけるNA, Carbogen投与時の腫瘍内酸素代謝変化を本装置を用いて検討した.【方法】8週令C3H/Heマウスの下腿皮下にSCC VII腫瘍を移植し腫瘍径が約20mmのものを実験に用いた.NAは生理食塩水に溶解し腹腔内投与後、直ちに専用アクリル箱にマウスを固定し,島津無侵襲酸素モニタOMllAを腫瘍部に装着し3波長の近赤外レーザー光(780, 805, 830nm)を照射した.ガス吸入群ではアクリル箱にCarbogenガスを9l/minで流した.3波長の透過光量より演算式にて酸素化ヘモグロビン(oxy-Hb),脱酸素化ヘモグロビン(deoxy-Hb),総ヘモグロビン(total-Hb)の量的変化を求めた.【結果】(1)Carbogen吸入に対する腫瘍内Hbの反応性:7例中5例でoxy-Hbの増加を示した.その内の4例で血液量(total-Hb)の増加を伴っていた.(2)NA投与に対する腫瘍内Hbの反応性:NA, 500mg/kgの投与後,3例全例で血液量の増加を示した.oxy-Hbは(↑)か(-)であった.NA, 1000mg/kgの投与では血液量,oxy-Hb共に増加は認められなかった.(3)NA投与1時間後に行われたCarbogen吸入に対する腫瘍内Hbの反応性:前投与されたNAの投与量に関係なく全例が血液量(total-Hb) (-), oxy-Hb(↑), deoxy-Hb(↓)のパターンを示した. 【結論】NAあるいはCarbogenに対する腫瘍の反応は様々であったがNAとCar-bogenの両者併用では例外なく一定の腫瘍組織の酸素代謝変化が誘導された.放射線照射にNAあるいはCarbogenを併用する場合、2者併用の方が,はるかに大きな腫瘍細胞致死が得られることが動物実験で示されている.今回の結果が細胞致死効果とどう関連するのか否かは今後の研究課題である.
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Research Products
(1 results)