1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07457232
|
Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
大熊 稔 京都大学, 医学研究科, 教授 (50026986)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高山 博史 京都大学, 医学研究科, 助手 (10197220)
|
Keywords | ヒト血小板 / トロンボキサンA_2受容体 / アイソフォーム / コラーゲン受容体 / GPVI欠損血小板 / チロシンキナーゼ / 刺激伝達 / Syk |
Research Abstract |
1.トロンボキサンA_2(TXA_2)受容体(TXR)アイソフォームの分子構造と機能に関する研究:ヒト血小板には胎盤から単離されたもの(TXRα)と、これとはC末構造のみを異にする内皮から単離されたもの(TXRβ)とそれぞれ同じ構造のアイソフォームが存在することを平成7年度の研究で明らかにしたので、培養細胞にそれらを発現させて両者の機能を検討した。リガンド結合能とホスフオリパーゼC(PLC)の活性化作用は両者間に差を認めなかったが、TXRαの刺激はアデニル酸シクラーゼ(AC)を活性化しTXRβの刺激はそれを阻害した。PLC活性化に障害を呈するTXRαのArg^<60>→Leu変異受容体の発現細胞ではPLCとACの活性化が障害されたが、TXRβの同様な変異受容体の発現細胞ではPLCの活性化は阻害されたがAC阻害活性は保持されていた。したがって、TXRのC末構造はAC活性に関与することや、Arg^<60>→Leu変異によっても障害を見なかったPLA_2活性化(平成7年度の研究)とAC活性阻害作用とをもたらす刺激伝達系に共通性が示唆された。 2.コラーゲン受容体GPVIの構造と機能に関する研究:GPVIの分子構造を決定するため、大量の血小板から部分精製後ロッドゲル電気泳動と逆相クロマトグラフィーによりGPVIをほぼ単離したが、逆相クロマトグラフィーの過程での著名な収量低下のため、アミノ酸配列分析に必要な量を得ることが不可能であった。次にGPVI欠損患者(3症例)由来の血小板を用いてコラーゲン刺激による蛋白チロシン燐酸化反応に対するGPVIの関与を検討したところ、チロシンキナーゼSykの活性化およびPLCγ_2やVavの燐酸化に障害を認めた。また、GPVI欠損血小板のコラーゲン刺激による蛋白質チロシン燐酸化はインテグリンα_2β_1に依存的であることから、コラーゲンによる血小板の蛋白質チロシン燐酸化反応は主にα_2β_1とGPVIによって制御されており、特にGPV1はSykの活性化に必須の分子であることが示唆された。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] T.Ichinohe: "Collagen-stimulated activation of Syk lest not c-Sre is severely compromined in human platelets lacking membrane glycoprotein VI" Journal of Biological Chemstry. 272. 63-68 (1997)
-
[Publications] T.Hirata: "Two Thromboxane A_2 receptor isoformes in human platelets : Opposite couping to adaylye cyclase with different sensitivity to Arg^<60> to heumutation" Journal of Clinical Investigation. 97. 949-956 (1996)
-
[Publications] M.Okuma: "Molecular characterization of a dominantly inherited bleeding disorden with impaired platelet responses to thromboxane A_2" Polish Journal of Pharmacology. 48. 77-82 (1996)
-
[Publications] 大熊 稔: "血小板トロンボキサン受容体とその変異" 細胞. 29. 22-25 (1996)
-
[Publications] K.Tomo: "Qualitative platelet 12-lipoxygenase abnormality in a patient with essential thrombocythemia" Thrombosis and Haemostasis. 77. 294-297 (1997)
-
[Publications] 高山博史: "GPVIを介した血小板活性化機構" 日本血栓止血学会雑誌. 7. 251-254 (1996)
-
[Publications] H.Takayama: "Blood Coagelatiooon,Fibrinolysis and Platelets" E.W.Davie,E.Kakishita (editors) ; Springer, 228 (1996)