1995 Fiscal Year Annual Research Report
高血圧における腎糸球体・尿細管機能異常の細胞生物学ならびに分子生物学的解明
Project/Area Number |
07457237
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
阿部 圭志 東北大学, 医学部, 教授 (60004777)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 和久 東北大学, 医学部, 助手 (40260426)
伊藤 貞嘉 東北大学, 医学部, 講師 (40271613)
尾股 健 東北大学, 医学部・附属病院, 講師 (50194634)
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Keywords | 糸球体輸入細動脈 / 微小灌流実験 / 20-HETE / チトクロームP450 / トロンボキサン / プロスタグランジン / cAMP / EP_<3B>受容体 |
Research Abstract |
1)糸球体輸出入細動脈微小灌流実験では、20-hydroxyeicosatetraenoic acid(20-HETE)のウサギ輸入細動脈への作用を検討した。その結果、輸入細動脈で20-HETEが有意な収縮を起こすためには輸入細動脈のbasal toneの上昇が必要であり、その作用には内皮依存性で一部はシクロオキシゲナーゼによる20-HETEの代謝に依存していることが明らかとなった。高血圧発症期には腎における20-HETEの産生増加と輸入細動脈のtoneの上昇が生じている。今回の検討結果から、この両者が相乗的に作用して輸入細動脈が収縮する結果、腎血管抵抗が上昇して高血圧が発症する可能性が示唆された。 2)我々はトロンボキサン(TX)受容体cDNAについてラット腎よりクローニングし、そのmRNAの局在が糸球体にあることを示した。また、TX受容体に対する抗体を作製し、この抗体を用いてさらに蛋白レベルでTX受容体発現を腎において検討し、発現が糸球体のみならず皮質尿細管にも存在している可能性を報告した。さらに、TX受容体遺伝子は、染色体7q11に存在していることも明らかとした。一方、腎TX合成系については、TX合成酵素cDNAについてもクローニングし、その構造と発現について検討を加えた(投稿準備中)。以上のように、分子生物学的方法によりTX系の幾つか分子について、構造、発現を解明し、その分子基盤を明らかにした。 3)腎プロスタグランジン(PG)の尿細管作用をクローン化したPG受容体(EP_3受容体)cDNAを用いて検討し、EP_<3A>及び受容体EP_<3B>受容体は、それぞれサイクリックAMPの低下作用及び細胞内カルシウムの増加作用を介して、水ナトリウム利尿作用を示す可能性について示された。また、EP_<3B>受容体遺伝子は2q44-45の遺伝子座にあることがマッピングされた。一方、腎電解質調節に関与するイオンとしてC1イオンチャンネルに着目し、その一つをクローニングし、このC1イオンチャンネルのmRNA発現がEP_<3B>受容体mRNAと局在が共通していることを明らかにしている。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Takahashi N,et al.: "Immunohistochemical localization of rat thromboxane receptor and synthase in rat tesis." Endocrinology.136. 4143-4146 (1995)
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[Publications] Takahashi N,et al.: "Immunohistochemical localization of thromboxane receptor and synthase in rat kidney." J.Amer.Soc.Nephrol.6. 762 (1995)
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[Publications] Abe T,et al.: "Rat kidney thromboxane receptor:molecular cloning,signal transduction,and intrarenal expression localization." J.Clin.Invest.96. 675-664 (1995)
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[Publications] ArimaS, et al.: "20-HETE requires increased vascular tone to constrict rabbit afferent arterioles." Hypertension(1996年3月号). (掲載予定). (1996)
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[Publications] Takauchi K, et al.: "Assignment of the rat thromboxane receptor gene to 7q11 by in situ hybridization." Cytogenet.Cell Genet.(in press). (1996)
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[Publications] Takeuchi K, et al.: "Functinal analysis and chromosomal gene assignment of rat prostaglandin EP_3 receptor." Kidney Int.(in press). (1996)
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[Publications] Abe T, et al: "Intrarenal expression of MDCK-type chloride channel." Nephron.(in press). (1996)