1995 Fiscal Year Annual Research Report
発達期脳における一酸化窒素と局所微小循環動態に関する研究
Project/Area Number |
07457244
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中村 肇 神戸大学, 医学部, 教授 (40030978)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
常石 秀市 神戸大学, 医学部・附属病院, 助手 (10271040)
米谷 昌彦 神戸大学, 医学部, 助手 (60221678)
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Keywords | 一酸化窒素 / 低酸素負荷 / 局所微小循環 / 発達期脳 / 線条体 |
Research Abstract |
一酸化窒素(NO)の濃度を電気化学的に測定するモニターとレーザードップラー血流計を用いて,日齢7,14の幼若ラット,および成体ラットの線条体におけるNOの産生と微小循環動態に与える低酸素負荷および再酸素化の影響について検討した.ラット脳をウレタン麻酔下で固定し,右線条体に相当する部位にNO微小電極(インターメデイカル製)の作用電極とレーザードップラー血流計(ペリメッド社製)のプローブを挿入した.術語1時間以上の安定化ののち,8%酸素吸入による低酸素負荷と21%酸素による回復期についてそれぞれ1時間,NOの産生と微小血流の変化を追求した.前処置として,L-NAMEなどNO合成阻害剤を腹腔内投与したラットとの比較も行った.日齢7,14の幼若ラット,成体ラット共に,低酸素負荷時にはNOの産生増加に相応する一過性の電流の増加が認められた.また再酸素化時にも再度NOの産生の増加がみられた.低酸素負荷時と再酸素化時に見られるそれぞれのNOのピークはL-NAMEを腹腔内に投与することによって著しく抑制されることより,これらのピークは実際にNOの産生量を反映するものと考えられた.日齢7では低酸素負荷で平均101pA,再酸素化時には平均178pAの増加,日齢14では,それぞれ平均426pA, 430pAに相当する増加がみられ,日齢が進むにつれてNO産生量が増加することがわかった.また,局所脳血流は再酸素化により一過性に増加を示した.この脳血流の増加が,血管内皮でのNO合成を亢進させることにより再酸素化時におけるNOの過剰な産生を惹起する可能性が示唆された.また,幼若なラットほどNOの産生が少ないことは,未熟な脳ほどNO合成酵素が活性化されにくいことを示すものと考えられた.
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