1997 Fiscal Year Annual Research Report
新技術を用いた肝阻血障害の無侵襲診断法の開発とその治療法の確立
Project/Area Number |
07457253
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
土肥 雪彦 広島大学, 医学部, 教授 (90034024)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸林 誠二 広島大学, 医学部附属病院, 講師 (80144814)
浅原 利正 広島大学, 医学部, 助教授 (70175850)
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Keywords | 近赤外分光法 / 肝阻血障害 / nitric oxide / FK409 / heat shock protein |
Research Abstract |
我々は肝阻血障害の迅速かつ無侵襲的な診断法として近赤外分光法を応用し、臓器内nitrosyl-Hb変化量を定量化するシステムを開発し、拒絶反応のモニタリングとしての有用性について検討してきたが、この測定法では相対的な変化量が産出され組織内の実際のNO濃度が得られなかった。1.そこで今回は、spontaneous NO releaserを用いたin vitro studyにより、近赤外分光法によるnitrosyl-Hb測定の感度解析を行いその結果から移植肝のNO濃度を推定した。NO donorとして用いたFK409は、構造内にNO分子を持ち1モルのFK409から1-1.5モルのNOを自然発生的に放出する。洗浄赤血球をPBSにsuspendし、窒素ガスのバブリングによりSaO_2を30%に調整し、種々の濃度のFK409を加えてインキュベートした。反応混合物を近赤外測定し既知のFK409濃度と産出されたnitrosyl-Hb量の関係を検討し、その結果、近赤外分光法によるnitrosyl-Hb測定量はFK409濃度で100μM以上で正の相関を認め、この範囲で生体内のnitrosyl-Hb量を定量できることを明確にした。ラット肝移植モデルの近赤外測定データと照合すると、肝拒絶反応時のNO組織内濃度は100-150μM以上という非生理的高濃度であるものと推定された。2.また阻血再灌流障害に対する肝細胞保護の新しい展開として、絶食ラット肝の阻血再灌流障害抑制効果が、ストレス蛋白誘導による可能性について報告した。この効果に対するKupffer細胞機能の関与を調べるためTNFaを測定した。肝に温阻血を加えた後に同所性に移植し、移植後2時間の肝組織内TNFaのmRNAの発現を測定したところ、絶食群と摂食群との間に発現の差を認めなかった。しかし絶食ラットの腹水内TNFa分泌は摂食群に比して有意に抑制された。以上より、ある種のストレスにより肝組織内にストレス蛋白などの細胞保護物質が誘導され、TNFa産生を抑制し、阻血再灌流障害抵抗性を獲得することを明確にした。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 土肥雪彦: "新技術を用いた肝阻血障害の無侵襲診断法の開発とその治療法の確立" INNERVISION. 12・9. 113-114 (1997)
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[Publications] Hideki Ohdan: "Prolongation of hamster-to-rat liver xenograft survival by donor bone marrow augmentation" Transplantation Proceedings. 29. 925-927 (1997)
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[Publications] Hirotaka Tashiro: "Induction of donor specific hyporeactivity in augmented microchimerism in liver grafting rat followed by donor specific bone marrow transplantation." Transplantation Proceedings. 29. 1196-1197 (1997)
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[Publications] Hideki Ohdan: "Modulation of Kuppfer cells affects the metabolism of protease inhibitor administered in cold-preserved transplantation." Transplantation Proceedings. 29. 3358-3359 (1997)
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[Publications] Toshio Noriyuki: "Near-infrared spectroscopic method for assessing the tissue oxygenation state of living lung." American J.Resir.Crit.Care Med.50・12. 1656-1661 (1997)
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[Publications] 浅原利正: "肝保存における肝実質細胞と類洞系細胞の障害機構とその防御対策." Organ Biology. 4. 25-31 (1997)