1996 Fiscal Year Annual Research Report
IL-2遺伝子導入腫瘍細胞を応用した癌性胸腹水に対する新しい養子免疫療法の開発
Project/Area Number |
07457254
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
峠 哲哉 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (40034657)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 幸雄 広島大学, 医学部・附属病院, 医員
柳原 五吉 免疫生物研究所, 部長
川見 弘之 広島大学, 医学部・附属病院, 医員
山口 佳之 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助手 (10230377)
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Keywords | リンパ球療法 / 癌性胸腹水 / 遺伝子導入 / 癌特異的リンパ球 / エレ-2 |
Research Abstract |
当科における癌性胸腹水に対する局所免疫療法の治療経験と、遺伝子工学の進歩に伴って可能となった遺伝子導入技術を背景として、より腫瘍特異性の高い抗腫瘍性リンパ球を、遺伝子導入腫瘍細胞を刺激細胞として用いることで誘導し、そのリンパ球を治療に用いる間接的な遺伝子療法の開発について研究している。 平成8年度の実績として、引き続き癌性胸水・腹水より癌細胞株がそれぞれ1株樹立された。IL-2遺伝子導入については、継代されている腫瘍細胞株5株(胃癌2株、大腸癌2株、膵癌1株)について成功し、IL-2の産生が確認された。平成7年度に確立された抗腫瘍性リンパ球の誘導系は、1)IL-2遺伝子導入腫瘍細胞をマイトマイシンCで不活化し、患者リンパ球と5日間混合培養し、2)抗CD3抗体を固相化したフラスコ内でIL-2存在下培養して、3)細胞数の増加に伴って、フラスコを大きくすると、というものである。この培養系の利点は、1)患者血液10mlから最終的に10^<10>個の抗腫瘍性リンパ球が採取可能である、2)抗腫瘍活性は最低1カ月維持される、3)誘導リンパ球へのネオマイシン遺伝子導入(RCR)は認められていない、などであり、臨床応用に際し、安全で、極めて実際的である。この活性化リンパ球移入療法の適応症例に遭遇し、上記に従って培養したところ、十分な活性の誘導と、安全性(RCRが認められないこと)が確認された。このように、当初の計画どうり研究が展開されており、さらに今後として、治療的応用の機会を模索している。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 山口佳之・他: "OK-432免疫療法のresponderの探索と作用機序の解明" Biotherapy. 10. 42-49 (1996)
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[Publications] 山口佳之・他: "癌性腹水に対するBRM投与の臨床効果-臨床試験に向けての課題-" Biotherapy Today. 3. 79-82 (1996)
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[Publications] 峠哲哉・山口佳之: "がん性胸腹水に対するサイトカイン療法 消化器疾患とサイトカイン" へるす出版, 228 (1996)