1996 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍血管の生物学的特性の解析と血管新生阻害剤の治療への応用
Project/Area Number |
07457257
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
兼松 隆之 長崎大学, 医学部, 教授 (40128004)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤岡 ひかる 長崎大学, 医学部, 講師 (00264226)
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Keywords | 腫瘍血管新生 / Ets-1 |
Research Abstract |
【目的】Ets-1(E26 transformation-specific)はretrovirus E26に見い出されたprotooncogeneであり、マトリックスプロテアーゼの転写調節因子として間質湿潤や血管新生に関与している。今回、ヒト肝細胞癌株を用いその細胞の血管新生能を検討するため、Ets-1を指標としてdiffusion chamber assay法を用い分析した。 【方法】Diffusion chamberにヒト肝細胞癌培養細胞PLC/PRF/5細胞1×105〜106個+RPMI1640培養液0.2mlを注入し、Wister rat皮下に移植した(A群:n=14)。コントロールとして、RPMI1640培養液0.2mlのみを注入したものを用いた(B群:n=5)。それぞれ7日後にchamberとともに周囲の組織を採取した。1)HE染色後、400倍検鏡下に1視野当たりの血管数を各標本10視野測定した。2)抗Ets-1 polyclonal抗体を用いたAPAAP法による免疫組織化学染色を行い、腫瘍誘導新生血管を含むchamber周囲組織におけるEts-1の発現を検索した。3)RT-PCR法にてchamber周囲組織のets-1 mRNAの発現を検討した。 【結果】1)chamber周囲組織における血管数は、A群44.0±3.3(個)、B群20.0±3.8(個)であり、A群では著明な新生血管の増生が認められた(p<0.01)。2)免疫組織化学染色では、Ets-1の発現は微少な新生血管の内皮細胞に認められたが、既存の動脈や静脈の内皮細胞には認めなかった。3)RT-PCRでは、chamber周囲組織にets-1 mRNAの発現を認めた。 【結語】ヒトPLC/PRF/5細胞は、diffusion chamber assay血管新生を促進した。また新生血管の内皮細胞にEts-1の発現が認められた。以上の結果より、肝細胞癌は、強い新生血管誘導能を有し、その血管新生にEts-1が重要な役割を果たしている可能性が示唆された。
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