1997 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍血管の生物学的特性の解析と血管新生阻害剤の治療への応用
Project/Area Number |
07457257
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
兼松 隆之 長崎大学, 医学部, 教授 (40128004)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤岡 ひかる 長崎大学, 医学部, 講師 (00264226)
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Keywords | 腫瘍血管新生 |
Research Abstract |
腫瘍組織の培養上清が血管内皮細胞の増殖活性に与える影響と培養上清中に含まれる血管新生因子であるVEGFとbFGFを測定し、血管内皮細胞の増殖活性と血管新生因子との関係について検討した。 方法:(1)培養上清採取;漿膜浸潤を有する大腸癌原発巣と肝移移巣より腫瘍組織を細切、濾過、遠沈後、2x10^7個の細胞をRPMI1640+10%FCSにて2日間培養し、その培養上清を用いた。(2)血管内皮細胞の増殖活性;血管内皮細胞株(HUVEC)とヒト肺癌株のhybrid cell(EA-hy926)を用いた。5x10^3個の細胞を採取培養上清50%の濃度で培養し、血管内皮細胞数をMTT法で判定した。EA-hy926とHUVECの増殖活性の相関を検討した。(3)血管新生因子;採取培養上清中のVEGFとbFGFの濃度をELISAで測定した。(4)肝転移巣で増殖活性と血管造影での腫瘍濃染像との関係を検討した。 結果:(1)平均増殖活性は大腸癌原発巣142%、肝転移巣152%であった。(2)EA-hy926とHUVECの増殖活性は相関した。(3)増殖活性は原発巣ではVEGFと、肝転移巣ではbFGFと相関した。(4)肝転移巣で増殖活性と腫瘍濃染像は相関した。 まとめ:大腸癌組織から血管内皮細胞増殖物質が産生され、その物質の一部は原発巣ではVEGF、肝転移巣ではbFGFと思われた。
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