1996 Fiscal Year Annual Research Report
消化器癌(胃癌・大腸癌)の転移の予知とその対策-生物学的分子・腫瘍マーカーよりの検討
Project/Area Number |
07457270
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
磨伊 正義 金沢大学, がん研究所, 教授 (80092807)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤岡 央 金沢大学, がん研究所, 助手 (70272987)
太田 孝仁 金沢大学, がん研究所, 講師 (10233131)
高橋 豊 金沢大学, がん研究所, 助教授 (10179541)
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Keywords | 胃癌 / 大腸癌 / 転移 / マトリックスメタロプロテナーゼ / 血管新生因子 / 同所性肝転移モデル |
Research Abstract |
消化器癌の転移の予知を知るべく病理組織学的多様性、腫瘍マーカーを含めた生化学、発育速度、癌の浸潤・転移に関与する遺伝子異常、染色体の異常などの諸因子などより転移予知の可能性を検討してきた。更に浸潤・転移に深く関わっている細胞外基質(マトリックスメタロプロテナーゼMMPsとそのインヒビターTIMPs)の免疫組織学的検討、血清中のMMP、TIMPを測定し、潜在的転移能の有無を検討した。また実験的にはヌードマウスを用いた同所性胃癌肝転移モデルの開発に成功し、PCR法を用いた肝臓微小転移巣の検出を試みているが、治療実験として抗癌剤の効果的な投与法の開発、TIMP遺伝子導入による転移抑制実験を行った。 本年度、得られた結果は以下の如くである。 (1)教室独自で開発した胃癌の同所性肝転移モデルを用い肝転移を併発する群と併発しない腫瘍を特定し、これらの腫瘍の間で何が異なるのか?をがん遺伝子、細胞接着因子、メタロプロテナーゼ、血管新生因子など転移関連因子を多方面から比較検討したところ、ELAM-1,MT-MMP,VEGFが血行性転移に深く関与していた。 (磨伊、高橋) (2)肝転移の予防には、どのような薬剤を、どの時期に、どのような経路で投与するのが最も効果的か?一定の見解の無いのが現状である。そこで胃癌肝転移例における転移発生時期は平均600日以前に発生し、肝動注が有効であることが判明した。 (3)転移成立機序に関与する宿主側、とくに転移臓器におけるCytokine networkの病態と転移制御の可能性を検討したところ血管内皮細胞に発現しているELAM-1が接着因子として深く関わっていることが判明した。 (4)基礎実験として実際のヌードマウスにヒト高転移胃癌細胞株を移植した肝転移モデルへTIMP遺伝子を導入し転移抑制実験に成功し、今後の分子標的治療に対し、新しい展開を迎えようとしている。
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Research Products
(10 results)
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[Publications] 磨伊正義,他: "進行癌治療の選択と癌告知" 外科治療. 75(3). 324-328 (1996)
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[Publications] 磨伊正義,他: "胃癌と大腸癌の比較" 日本外科学会雑誌. 97(4). 263-268 (1996)
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[Publications] 磨伊正義: "胃癌・大腸癌の転移の予知とその対策" がん治療のあゆみ. 15. 81-89 (1996)
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[Publications] Takahashi Y,et al: "Significance of vessel count,vascular endothelial growth factor,and its receptor (KDR) in intestinal-type gastric cancer." Clinical Cancer Research. 2. 1679-1684 (1996)
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[Publications] 高橋 豊: "同所移植モデルとサイトカインおよび血管新生" 侵襲と免疫. 5(3). 11-12 (1996)
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[Publications] Minamoto T,et al: "Analysis of mutant K-ras in multiple sites of normal appearing mucosa of colorectal cancer patients." International Journal of Oncology. 9. 911-915 (1996)
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[Publications] Nomura H,Mai M,et al: "Enhanced production of matrix metalloproteinases andactivation of matrix metallproteinase 2 (gelatinase A) in human gastric carcinomas." International Journal of Cancer. 16. 9-16 (1996)
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[Publications] Ooi A,Mai M,et al: "Numerical chromosome alterations in colorectal carcinomas detected by fluorescence in situ hybridization." Virchows Arch. 428. 243-251 (1996)
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[Publications] 高橋 豊: "外科ベーシックサイエンス(分担)転移の分子機構" 医学書院, 12 (1996)
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[Publications] Mai M,et al: "Chemotherapy of advanced gastric cancer" Recent advances in gastroenterological carcinogenesis. Monduzzi Editore., 4 (1996)