1996 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞癌における染色体不安定性(Genetic Instability)の検討
Project/Area Number |
07457276
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
古井 純一郎 長崎大学, 医学部附属病院, 講師 (30264229)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
兼松 隆之 長崎大学, 医学部, 教授 (40128004)
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Keywords | 肝細胞癌 / 染色体不安定性 |
Research Abstract |
原発性肝細胞癌の発癌のメカニズムとしてHCV抗体陽性肝細胞癌では癌遺伝子や癌抑制遺伝子などの一連の遺伝子の変化により肝細胞癌へ進展するという多段階発癌説が提唱されている。この多段階発癌説の機序のひとつとして染色体の不安定性(Genetic Instability)の可能性があげられている。一方HBsAg陽性肝細胞癌ではB型肝炎ウイルスX遺伝子の発現が肝細胞癌の発現に重要な役割を果たしていることが明らかになってきた。そこで本研究では肝細胞癌切除例で染色体不安定性とX遺伝子発現の有無よりB型肝炎ウイルスとC型肝炎ウイルスのメカニズムの相違について検討する。 方法:(1)染色体不安定試験(マイクロサテライト法):癌組織と正常組織よりDNAを抽出しCA繰り返しを含むマイクロサテライD2S123/D2S136,D3S1067,TP53をプライマーとしてPCR(polymerase chain reaction)を行った。そのPCR産物を一本鎖に熱変性後電気泳動をおこない泳動パターンを比較した。(2)X遺伝子:肝細胞癌切除凍結標本で抗HBx抗体を用いてABC法にて免疫組織学的染色を行った。(3)p53遺伝子:肝細胞癌切除凍結標本で抗p53蛋白抗体を用いてABD法にて免疫組織学的染色を行った。 結果(1)染色体不安定性試験:肝細胞癌切除11例(2番染色体長腕、3番染色体短腕および17番染色体短腕のloss of heterozygoisityと染色体不安定性を検討したがいづれにしても認められなかった。(2)X遺伝子:HBs抗原陽性肝細胞癌切除標本で抗HBx抗体を用いてABC法にて免疫組織学的染色を行ったがX蛋白の発現は認められなかった。(3)p53蛋白の発現:肝細胞癌切除91例で33例(36%)にp53蛋白の発現が認められた。p53蛋白発現陽性例と陰性例で臨床病理学的因子(腫瘍最大径、Vp因子、im因子、HBs抗原陽性、進行度)に差は認められなかった。
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Research Products
(1 results)