1995 Fiscal Year Annual Research Report
スキルス胃癌の増殖進展における胃壁線維芽細胞由来増殖因子の解析
Project/Area Number |
07457278
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
曽和 融生 大阪市立大学, 医学部, 教授 (80046979)
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Keywords | スキルス胃癌 / 繊維芽細胞 / 増殖因子 |
Research Abstract |
スキルス胃癌は、粘膜下層以深に達すると、著明な線維性組織の増生を伴って急速広範に増殖・浸潤する特性を有し、他の胃癌に比べ予後不良である。このスキルス胃癌の生物学的特性を明らかにするために、スキルス胃癌患者の摘出胃より、胃癌培養細胞株OCUM-2Mと胃壁由来の線維芽細胞株NF-8を樹立し、各々が及ぼす影響を、増殖率を中心に研究を進めた。成果は以下のごとくである。 1.スキルス胃癌細胞株OCUM-2Mおよび胃壁由来の線維芽細胞株NF-8の樹立 4型スキルス胃癌患者の摘出胃の癌巣部胃壁を細切し、培養液を加え初代培養を開始した。以後、培養を反復し、継代培養を3〜5日ごとに行った。約1カ月目頃より、単独あるいは一部塊状となって浮遊性の増殖を示す細胞を認めるようになり、浮遊細胞の分離培養を行った。樹立した胃癌細胞株をOCUM-2Mと命名した。さらに同様の手法にて、摘出胃の非癌巣組織から、線維芽細胞NF-8を樹立した。 2.4型スキルス胃癌細胞と胃線維芽細胞の相互作用の検討 1)胃由来線維芽細胞NF-8の培養上清は、スキルス胃癌細胞OCUM-2Mの増殖やDNA合成を有意に亢進させた。高速液体クロマトグラフィーを用いた解析により、この増殖促進因子は、分子量2.6-25kDの蛋白と考えられた。 2)OCUM-2MとNF-8を、ヌードマウス皮下に混合接種すると、単独接種に比し、腫瘤生着率や腫瘤容積の増大がみられた。さらに組織像は、OCUM-2Mの単独接種腫瘍が、間質成分に乏しい髄様性増殖を示したのに対し、混合皮下接種により形成された腫瘍は、線維性組織の増生が目立ち、ヒト4型スキルス胃癌に類似の組織像を呈した。 4型スキルス胃癌の急速広範な発育進展の機序に、癌細胞の持つ生物学的特性のみならず、癌細胞をとりまく微小環境の関与が推測され、特に胃壁由来の線維芽細胞から産出される因子によるparacrine作用の関与が示唆された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Masakazu Yashiro,Yong-Suk Chung and Michio Sowa: "Role of Orthotopic Fibroblasts in Development of Scirrhous Gastric Carcinoma." Jpn.J.Cancer Res.89. 883-886 (1994)
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[Publications] 八代正和、鄭容錫、西村重彦、山田靖哉、澤田鉄二、久保俊彰、仲田文造、曽和融生: "スキルス胃癌原発巣由来細胞株OCUM-2Mの樹立と増殖因子の関与" 日本消化器病学会雑誌. 92. 199-205 (1995)
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[Publications] M Yashiro,Y-S Chung,S Nishimura,T Inoue,T Kubo and Michio Sowa: "Paracrine factor from gastric fibroblasts stimulates the growth of scirrhous gastric carcinoma." International Gastric Cancer Congress.(Mitsumasa Nishi,Haruo Sugano and Toshio Takahashi eds.) Monduzzi Editore,Bologna,1995. 1. 423-426 (1995)
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[Publications] M Yashiro,Y-S Chung,S Nishimura,T Inoue and Michio Sowa: "Establishment of two new scirrhous gastric cancer cell lines:analysis of factors associated with disseminated metastasis." Br.J.Cancer. 72. 1200-1210 (1995)