1996 Fiscal Year Annual Research Report
肺癌の多段階発癌に関する遺伝子変異の解析と遺伝子早期診断の確立
Project/Area Number |
07457300
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
杉尾 賢二 九州大学, 医学部, 助手 (70235927)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大崎 敏弘 産業医科大学, 医学部, 助手 (70248574)
牛島 千衣 九州大学, 医学部, 医員
塚本 修一 九州大学, 医学部, 医員
坂田 敬 九州大学, 医学部, 医員
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Keywords | 肺癌 / 多段階発癌 / 前癌病変 / がん抑制遺伝子 / がん遺伝子 / 遺伝子診断 / p16 / p53 |
Research Abstract |
1.多段階遺伝子変異の解析と生物学的特性の検討 (1)K-ras、p53遺伝子変異の解析と臨床的特性 159例の非小細胞肺癌のK-rasとp53の変異の解析を行い、7%にK-ras変異を、36%にp53変異を認め、K-ras変異群は、いずれの病期でも予後不良であり、p53変異群は第I、II期で予後不良因子となることが示され、多変量解析においても独立した予後因子であった。 (2)p16遺伝子発現とRb遺伝子発現の検討 158例の非小細胞肺癌を対象に、細胞周期に関与するp16とRb発現を免疫組織化学的に検討し、p16発現消失を31%に、Rb発現消失を44%に認めた。今後、これらの遺伝子変異、メチル化などの異常を解析し、さらに生物学的特性を明らかにしてゆく予定である。 2.遺伝子早期診断 (1)微小リンパ節転移の免疫組織学的診断 リンパ節転移陰性とされた第I期肺癌症例のリンパ節を抗サイトケラチン(CK)抗体にて免疫組織化学的に検討したところ、約70%にCK染色陽性細胞を認めた。CK陰性症例の再発率が8%に対し、CK陽性症例では39%と高率であり、微小リンパ節転移の検出が、再発の指標として有用であることが示唆された。 (2)血液中の微量癌細胞の検出 抗サイトケラチン抗体(CK)にて免疫組織化学的に骨髄中のCK陽性細胞の検出を、前年より症例数を増やし、肺癌患者39例に対して行った。CK陽性細胞は、第I,II期で31%、第III,IV期で54%に認められた。これらの患者は早期に血行性遠隔転移を起こしており、骨髄中の癌細胞の検出は、再発早期診断の指標として重要であることが明らかとなった。 今後、これらのサイトケラチン陽性細胞をmicrodissectionにより採取し、原発巣の遺伝子変異と同一の変異を検出することで、癌細胞であることを検証する予定である。また、骨髄のほか肺静脈血および末梢血も対象として行う予定である。
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[Publications] Tetsuya Mitsudomi,et al.: "Loss of heterozygosity at 3p in non-small cell lung cancer and its prognostic implication" Clinical Cancer Reserch. 2. 1185-1189 (1996)
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[Publications] Yasuro Fukuyama,et al.: "K-ras and p53 mutatations are an independent unfavorable prognostic indicator in patients with non-small cell lung cancer" British J Cancer. (発売予定).
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[Publications] Tsunehiro Oyama,et al.: "Chromosome P450 2E1 polymorphism as a risk factor for lung cancer:In relation to p53 gene mutation" Anticancer Research. (発売予定).