1997 Fiscal Year Annual Research Report
酢酸セルロースポリマーによる脳動脈瘤閉塞に関する実験的研究
Project/Area Number |
07457318
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
中嶋 裕之 岡山大学, 医学部・附属病院, 助手 (80252972)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳永 浩司 岡山大学, 医学部・附属病院, 助手 (40294467)
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Keywords | 酢酸セルロースポリマー / 脳動脈瘤 / 血管内塞栓術 / 離脱式コイル |
Research Abstract |
我々の施設では液体塞栓物質である酢酸セルロースポリマー(CAP)を開発し、種々の基礎的実験を行った。まずイヌの頚動脈に静脈片を吻合しlateral aneurysm modelを作成し、CAPにて塞栓術を行い、放射線学的・組織学的観察を行った。その結果、塞栓術後わずか2週間で動脈瘤の開口部に新生内膜の形成をみとめた。また長期の観察で良好な塞栓状態が永く保持されることが示された。さらに血管内視鏡を用いて動脈瘤が塞栓される経過を観察した。 次に、イヌの頚部にbifurcation aneurysm modelを作成し、意図的に部分塞栓術を行った。その結果、動脈瘤とCAPの間に三日月状の間隙を残さないように塞栓することによって塞栓直後の状態が持続し、一方三日月状の間隙を残した場合には動脈瘤の増大・破裂を招くことが示された。 さらに最近は特に塞栓の難しい頚部の面積の広い動脈瘤モデルに対してCAPと離脱式コイルを併用して塞栓術を行った。両者の併用により、離脱式コイルがCAPの親血管への迷入を防ぐ効果を持ち、また本年度での長期的な観察によりコイル単独ではみられやすいコイルの圧縮現象が併用例ではみられなかった。この実験により治療困難な動脈瘤に対しても安全かつ効果的に塞栓できる可能性が示唆された。 以上の実験により動脈瘤に対するCAP塞栓術の有用性が示されたが、いずれの実験も対象としてイヌの動脈壁に静脈片を縫着したモデルを使用しており、実際の脳動脈瘤とは組織学的・血行力学的に異なる。現在我々は動脈壁自身から発生する動脈瘤モデルの作成を試みており、可能となればそのモデルを用いて塞栓実験を行う所存である。
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Research Products
(1 results)