1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07457331
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
須藤 啓広 三重大学, 医学部・附属病院, 講師 (60196904)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤浪 周一 三重大学, 医学部・附属病院, 助手 (30199351)
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Keywords | 骨軟部悪性腫瘍 / 骨肉腫 / 癌遺伝子 / 癌抑制遺伝子 / Rb遺伝子 / p53遺伝子 / 分子細胞遺伝学 |
Research Abstract |
当教室において、両側性網膜芽腫治癒後に骨肉腫を発症した例、いわゆるsecond primary osteosarcomaの症例で、体細胞(線維芽細胞)、網膜芽腫パラフィン包埋組織及び、骨肉腫組織より樹立した骨肉腫細胞株(OSrb/N-M)の、網膜芽腫遺伝子(Rb遺伝子)、p53遺伝子の変異に関してDNA、mRNA、蛋白のそれぞれのレベルでの検討をするべくサザン、ノザン、ウェスタン・ブロット分析を行った。 その結果、Rb遺伝子は、網膜芽腫では一部欠失又は、遺伝子変換により、また骨肉腫では正常alleleの喪失と変異alleleの重複により、それぞれ不活化されていた。そして、p53遺伝子については、網膜芽腫では異常が検出されなかったのに対して、骨肉腫では、一方のalleleの一部が欠失し、他方のalleleではエクソン8でミスセンス変異(コドン281:GAC→TAC、Asp→Try)が起こって、不活化されていた。 更に、網膜芽腫の既往のない骨肉腫患者より樹立された4種の骨肉腫細胞株でも、同様の検討を行った。4例ともRb遺伝子の異常は認めなかった。しかるに、p53遺伝子は、全例でOSrb/N-Mとは異なり、エクソン5において、同じ点突然変異(コドン156:CGC→CCC、Arg→Pro)が検出され、更にノザン分析、ウェスタン分析で、p53mRNA、p53蛋白のメッセージのシグナルは正常コントロールに比較して、それぞれ過剰に発現されていた。以上の結果は、骨肉腫発症には、Rb遺伝子よりもp53遺伝子の関与の方が重要であることを示唆するものと考えられた。更に、骨肉腫におけるp53遺伝子変異も、構造異常ではなく、他の癌腫で認められる微小変異(ミスセンス変異)によることが多く、また、骨肉腫に比較的特異的な、変異の起こり易い部位の存在することを示唆するものと思われる。そして、ミスセンス変異による変異p53蛋白の過剰発現は、必ずしもstabilityの増加ではなく、転写レベルの亢進による可能性があることも示唆された。
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Research Products
(1 results)