1997 Fiscal Year Annual Research Report
薬剤耐性骨肉腫の細胞生物学的特徴の解明と耐性克服の基礎的研究
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07457340
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
楠崎 克之 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (30177993)
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Keywords | 骨肉腫 / 薬剤耐性 / 耐性克服 / マウス骨肉腫細胞 / アドリアマイシン / DNAプロイディ / P糖蛋白 / 電磁波 |
Research Abstract |
本年度は研究の最終年度であり平成7,8年度の研究結果をあわせて研究解析し、以下の研究成果が得られた。 1.ヒト骨肉腫症例を用いての薬剤耐性骨肉腫の細胞生物学的特徴の解析 DNAプロイディ解析ではdiploidとりもaneuploidやeuploid-polyploidの骨肉腫のほうが化学療法に感受性が高く予後がよいことが判明した。diploidの骨肉腫は薬剤耐性で術前化学療法で組織学的反応が悪く、プロイディの変化も少ないことが分かった。アドリアマイシン結合能(%AB)の解析では%ABが80%以上の骨肉腫は術前化学療法に対する腫瘍壊死率が高く、80%以下のものは低いことが判明した。DNAプロイディ解析やP糖蛋白の解析も合わせて生検組織での骨肉腫の薬剤耐性は%ABで評価するのが良いと結論した。 2.薬剤耐性マウス骨肉腫の細胞生物学的特徴の解析 我々が樹立した多剤耐性マウス骨肉腫細胞株はP糖蛋白を有し%ABも低い。増殖能は感受性腫瘍と同じであるがマウスへの生着率は低く骨形成能が高いことが明らかになった。 3.薬剤耐性マウス骨肉腫を用いた耐性克服法の検討 各種の化学的、物理学的耐性克服方法を試みた結果、verapamil、cyclosporin A、MS-209、Tween20、Tween80、電磁波、放射線などが比較的強い耐性克服作用を示した。このうち、臨床応用可能なものとしてはMS-209と電磁波が有力と考えた。
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[Publications] Kusuzaki,Katsuyuki: "Relationship between cellulan adriamycin binding ability to nuclean DNA and hisological hesponse to preoperative chenotherapy in human osteosarcoma" Camcer. (in press). (1998)
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[Publications] 楠崎克之: "肺転移を生じた骨肉腫の原発巣と転移巣のDNAプロイディ解析" 臨床整形外科. 32・1. 23-30 (1997)
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[Publications] 平田正純: "骨肉腫における術前化学療法によるDNAプロイディの変化と病理組織学的腫瘍壊死率との関連" 中部整形・災害外科学会雑誌. 40・2. 317-318 (1997)
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[Publications] Kusuzaki,Katsuyuki: "Intluence of cusokatub or methotrexwte on adnamycin binding ability to uclear DNA of mouse osteosarcoma cells" Transaction of Irernational Society of Linb Salvage. 183 (1997)
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[Publications] 竹下秀之: "薬剤耐性骨肉腫細胞における形態的分化とアクチン重合阻害剤の耐性克服効果" 日本整形外科学会雑誌. 71・6. S1237 (1997)
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[Publications] 平田正純: "悪性骨軟部腫瘍の薬剤感受性とアドリアマイシン核結合能・P糖蛋白発現およびDNAプロイディとの関連性" 日本整形外科学会雑誌. 71・6. S1248 (1997)