1995 Fiscal Year Annual Research Report
骨粗鬆症の骨髄細胞におけるシグナル伝達異常の解析とその調節による治療法の開発
Project/Area Number |
07457346
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
中村 利孝 産業医科大学, 医学部, 助教授 (50082235)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 良哉 産業医科大学, 医学部, 助手 (30248562)
岡部 聡 産業医科大学, 医学部, 助手 (00248577)
酒井 昭典 産業医科大学, 医学部, 講師 (90248576)
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Keywords | 骨粗鬆症 / 骨計測 / 骨芽細胞と破骨細胞 / 卵巣摘出ラット / アジュバント関節炎ラット / 挫骨神経切除マウス / カップリング異常 / 骨髄細胞の分化 |
Research Abstract |
平成7年度の研究では、骨粗鬆症のモデルとして卵巣摘出ラット、アジュバント関節炎ラット、挫骨神経切除マウスを用い、骨量減少過程における骨吸収と骨形成のカップリング異常を明らかにした。各モデル動物の骨組織標本を経時的に採取し、カルセイン標識切片とTRAP染色切片を高感度カラーモニターを用いて計測した。 卵巣摘出ラットでは術後2週間目で、腰椎の海綿骨の骨量が減少した。破骨細胞の数は卵巣摘出3日目より増加して、2週間で2倍となった。骨芽細胞による骨の形成は、腰椎では10日までは変化せず、その後6週間目でほぼ2倍にまで増加した。卵巣摘出後に破骨細胞は速やかに増加するのに対して、骨芽細胞の増加してくる時間が遅延した。破骨細胞と骨芽細胞の増加の程度は同じであった。 アジュバント関節炎では10日目までは炎症はアジュバント摂取部位に限局し、全身性の関節炎はまだ生じない。しかし、腰椎の骨芽細胞機能は10日目ですでに著しく低下していた。さらに、その後、炎症の拡大とともに破骨細胞の数が増加した。また、メソトレキセートの投与により、これらの骨の細胞機能の異常はほぼ完全に防止された。 挫骨神経切除では、神経切除直後より骨芽細胞の機能の低下と破骨細胞の増加が生じた。切除後1週間で骨梁表面での骨芽細胞の機能異常は改善傾向を示したが、破骨細胞は増加を続け3週間目にピークになった。 今年度の研究で、3つの骨粗鬆症モデルにおける骨吸収-骨形成連関(カップリング)の破綻の様式が明らかになった。このような骨組織表面での各種のアンカップリングが、骨髄細胞から骨の細胞への分化の異常に起因する事は明らかである。これらの事実を手がかりとして平成8年度は、各骨粗鬆症モデルでの骨髄細胞の分化異常を検討する。(736字)
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Motoie H, Nakamura T, et al.: "Effects the bisphosphonate YM175 on bone mineral density, strergth, Structure, and turnover in ovariectonized beagles on concomitant dietary calcium restriction." Journal of Bone and Mineral Research.10. 910-920 (1995)
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[Publications] Segawa Y, Nakamura T, et al.: "Changes in urinary deoxypyridinoline level and vertebral bone mass in the development of adjuvant-induced arthritis in rats." Bone. 17. 57-62 (1995)
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[Publications] Narusawa K, Nakamura T, et al.: "The effects of recombinant human insulin-like growth factor (rh1GF)-1 and rh1GF-1/1GF binding protein-3 administration on rat osteopenia induced by ovarietumy with concomitant bilareral sciatic neurectomy." Journal of Bone and Mineral Research.10. 1853-1864 (1995)
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[Publications] Yamaura M, Nakamura T, et al.: "Local bone turnover in the metaphysis of the proximal tibia and the lumbar vertebra during the early periods after ovariectomy in rats." Calcified Tissue International. 58. 52-59 (1996)