1997 Fiscal Year Annual Research Report
下行性疼痛抑制系の脊髄後角における作用機序に関する実験的研究
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07457351
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
馬場 洋 新潟大学, 医学部, 助手 (00262436)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 恵 佐賀医科大学, 医学部, 教授 (10140641)
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Keywords | 成熟ラット / 下行性疼痛抑制系 / 脊髄スライス / 膠様質ニューロン / セロトニン / ノルアドレナリン / アセチルコリン / ホールセルパッチクランプ |
Research Abstract |
本年度は熟成ラット脊髄スライス標本を用いて膠様質細胞からホールセルパッチクランプ記録を行い、ノルアドレナリン、セロトニンに続いて、下行性疼痛抑制系の伝達物質である可能性のあるアセチルコリン(ACh)の膠様質細胞に対する作用を調べた。 AChの細胞体-樹状突起に対する作用 AChのは大部分の膠様質細胞で外向きに電流を誘起した。この作用はatropineでブロックされたことから、muscarinic receptorを介する反応であることが示唆された。この外向き電流は-90mV付近で逆転した。これはKの平衡電位に一致するため、AChはmuscarinic receptorを介してKイオンコンダクタンスの上昇させることにより外向き電流を生じさせることがわかった。 また、AChは自発性IPSC発生頻度と平均振幅を増加させた。この作用はTTXで一部抑制され、特に振幅の大きいIPSCはTTXで消失したことから、AChは抑制性介在ニューロンを脱分極させて活動電位を発生させることがわかった。このAChの作用はatropineで抑制されたことから、muscarinic receptorを介することがわかった。 シナプス前終末に対する作用 次にシナプス前終末の活動性の指標とされているminiature-IPSCの発生頻度に対するAChの影響を調べた。AChはTTXの存在下で記録されるのm-EPSCの発生頻度を増加させた。このAChの作用はatropineで抑制され、muscarinic rceptorの関与が考えられる。m-EPSCの発生頻度はAChによって影響されなかった。 以上より、AChは大部分の膠様質細胞でKイオンチャネルを開くことにより外向き電流を誘起し、細胞を過分極させ、その興奮性を減少させることにより痛覚伝達を抑制する。AChは抑制性介在ニューロンを特異的に脱分極させ興奮させることにより、また抑制性介在ニューロンのシナプス前終末に特異的に作用することにより、膠様質において抑制性伝達物質の放出を増加させ痛覚伝達を抑制する。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Baba H, et al.: "Cholinergic modulation of GABAergic inhibition in substantia gelatinosa of rat spinal cord." J Electrodiagnosis Spinal Cord. 19. (in press) (1997)
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[Publications] Baba H, et al.: "Facilitation of GABA release by catbachol and neostigmine in substantia gelatinasa of rat spinal cord." Neurosci Res. Suppl 20. S60, (1996)
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[Publications] Baba H, et al.: "Facilitation of GABA release by carbachol and neostigmine in substantia gelatinasa of rat spinal cord." Pain Research. 12. 65-72 (1997)