1996 Fiscal Year Annual Research Report
成人呼吸窮迫症候群の早期診断とサーファクタントによる不可逆期への移行阻止
Project/Area Number |
07457353
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小林 勉 金沢大学, 医学部, 教授 (40019922)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 豊 金沢大学, 医学部・付属病院, 助手 (90262584)
田代 勝己 金沢大学, 医学部・付属病院, 助手 (30242556)
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Keywords | 呼吸窮迫症候群 / サーファクタント蛋白 / 補充療法 / 表面張力 / エラスターゼ / 静的肺圧量曲線 / ウサギ未熟胎仔 / ラット |
Research Abstract |
(1)成人(急性)呼吸窮迫症候群(ARDS)の可逆期判定実験:ラットの気管内にエラスターゼを投与して作成したARDSの場合、8時間以内ににサーファクタント補充療法を行えば症状は緩解した。一方、10時間を超えると循環系の抑制が強くなり、不可逆期に移行することを見い出した。したがって、ARDSの診療には、早期診断が必要であると結論された。なお、同時に行った追加実験では、局所麻酔薬(リドカイン)を投与すると、血圧低下や炎症反応を抑制できた。今後、リドカインとサーファクタントの両者を併用した実験も必要であると考えられた。 (2)ARDSの早期診断法の検討:上記(1)の実験結果から、ARDSでは、早期診断の重要性が示唆された。ARDS患者の血液中のサーファクタント蛋白-A(SP-A)を定量し、この所見から早期診断が可能か否かを検討した。まだ結論を出すには至っていないが、同時に行った喘息患者の検索では、喀啖の表面張力と気道抵抗との間に相関々係を見い出した。今後、ARDSでも、喀啖の表面張力を測定し、早期診断が可能か否かを検討する必要があると考えられた。 (3)再構築サーファクタントの薬効判定:ウサギ未熟胎仔やラットを用いた実験により、ARDSの治療用サーファクタントには、蛋白成分としてSP-BとSP-Cの2成分が2〜3%必要であることを確認した。また、SP-BとSP-Cの比は1:2が適当であり、SP-Cの量が少ないと、静的な肺圧量曲線を好転させるが、生体内での活性が不十分であることを見い出だした。これらの知見は、人工サーファクタントを開発するための有用な基礎資料であると考えられた。
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[Publications] Kobayashi,Tsutomu: "Disparity between tidal and static volumes of immature lungs treated with reconstituted surfactants" Journal of Applied Physiology. 80・1. 62-68 (1996)
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[Publications] Tashiro,Katsumi: "Aerosolized and instilled surfactant therapies for acute lung injury by intratracheal endotoxin in rats" Critical Care Medicine. 24・3. 488-494 (1996)
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[Publications] Taniguchi,Takumi: "Lidocaine attenuates the hypotensive and inflamatory responses to endotoxemia in rabbits" Critical Care Medicine. 24・4. 642-646 (1996)
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[Publications] 長瀬,典子: "エラスターゼを気道内に投与したラットに対する肺サーファクタント補充療法" 日本界面医学会雑誌. 27・1/2. 74-79 (1996)
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[Publications] 早稲田,祐子: "換気量増加に必要なサーファクタント・アポ蛋白の種類" 日本界面医学会雑誌. 27・1/2. 93-98 (1996)
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[Publications] Kurashima,Kazuyoshi: "Surface activity of sputum from acute asthmatic patients" American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine. 155・(Accepted in press). (1997)