1996 Fiscal Year Annual Research Report
慢性装置埋め込み犬における麻酔薬とKチャネル作動薬の循環動態相互作用の解析
Project/Area Number |
07457359
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
澄川 耕二 長崎大学, 医学部, 教授 (60028660)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高松 俊子 長崎大学, 医学部・附属病院, 助手 (90264241)
藤江 透 長崎大学, 医学部・附属病院, 助手 (90190008)
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Keywords | 慢性装置埋め込み犬 / 麻酔薬 / カリウムチャネル / 循環動態 / 冠血行動態 |
Research Abstract |
雑種成犬を用いて慢性装置埋め込み犬を作製した。循環動態の測定には主としてクリスタルバイオテック社製心血行動態総合計測システム“VF-1"を用いた。 心血行動態測定のための麻酔薬としてイソフルレンとセボフルレンを用いた。Kチャネル開口薬としてクロマカリム、JTV-506、ニコランジルを用いた。Kチャネル遮断薬としてグリベンクラミドを用いた。循環動態としては、全身血行(心拍出量、動脈圧、末梢血管抵抗)、冠血行(冠動脈経、冠血流量)、心筋酸素代謝、心室収縮性(左室圧1次微分値、局所心筋収縮能)の測定を行い、解析用コンピューターDaqLiteを用いて演算処理を行った。 イソフルレンは全身血管抵抗と冠血管抵抗をいずれも用量依存性に減少させた。グリベンクラミドはイソフルレンの血管拡張を全身血管および冠血管の両方とも完全に抑制した。セボフルレンは全身血管抵抗をほとんど変化させなかったが、冠血管抵抗を減少した。グリベンクラミドはこれを完全に抑制した。両麻酔薬による冠血管拡張の機序としてATP感受性Kチャネル開口が関与することが示唆される。一方全身血管はイソフルレンにのみ感受性を有することが示唆される。 Kチャネル開口薬の心血管作用を比較検討した。クロマカリム10μg/kgは全身血管抵抗を17%、冠血管抵抗を75%減少させた。ニコランジル200μg/kgは全身血管抵抗を37%、冠血管抵抗を79%減少させた。JTV506は全身血管抵抗を30%、冠血管抵抗を81%減少させた。このようにどの開口薬も冠血管により強い拡張作用を現したが、クロマカリムが最も高い特異性を示した。麻酔薬との相互作用を現在解析中である。
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