1997 Fiscal Year Annual Research Report
インテグリンと細胞外基質が前立腺癌の増殖,骨転移に果たす役割とその制御因子の検討
Project/Area Number |
07457369
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Research Institution | MIE UNIVERSITY |
Principal Investigator |
川村 寿一 三重大学, 医学部, 教授 (70026839)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山川 謙輔 三重大学, 医学部, 助手 (00230326)
有馬 公伸 三重大学, 医学部・附属病院, 講師 (10175995)
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Keywords | α_6インテグリン / アンドロゲン / 前立腺癌細胞株 / マトリゲル / 細胞外基質 |
Research Abstract |
前立腺癌の臨床ではアンドロゲン非依存性前立腺癌が問題になる。その定義としては癌細胞の増殖がアンドロゲンに依存しないことであるが、その状態でのアンドロゲンで調節される遺伝子発現についての明確な研究成果はいままでに得られていない。本研究では前立腺癌細胞株でのα_6インテグリンの発現調節は比較的短時間の場合はアンドロゲンはα_6インテグリンの遺伝子発現を抑制する。しかし、アンドロゲン依存性、非依存性の細胞株LNCaP cell lineでは比較的長時間、アンドロゲンを作用させるとα_6インテグリンの遺伝子発現が刺激されることがわかっており、その条件ではそれらの細胞の胞基底膜への浸潤が亢進することも解明された。このアンドロゲンによるα_6インテグリンの遺伝子発現の刺激作用はcycloheximideで阻害されることよりアンドロゲンによる蛋白合成を介した経路であると推定される。細胞がアンドロゲン不応性になった場合で、アンドロゲンで作動する遺伝子の発現機構が刺激される場合ではその刺激がアンドロゲンによるのかまたはアンドロゲン不応性の原因になる増殖因子によるのかは明らかになりにくい。しかし、アンドロゲンで抑制がかかる遺伝子発現を調べることでその問題は解決する。これらの背景でこの研究で得られた結果ではアンドロゲンで抑制がかかる遺伝子発現を調べることで前立腺癌細胞がアンドロゲン不応性になってもアンドロゲンで作動する遺伝子発現機構は温存され、アンドロゲンレセプターが免疫組織学的に確認できないPC-3 cell lineでもそれが観察できた。前立腺癌細胞が細胞外基質により十分に細胞増殖、転移を行うにはアンドロゲンの存在が必要であり、このことは細胞増殖のアンドロゲン依存性に関係しないことがわかった。
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[Publications] Arima,K.et al.: "Stereologically estimated mean nuclear volum of prostate cancer is a reliable prognostie parameter." Brit.J.Cancer. 76・2. 234-237 (1997)
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[Publications] 林宣男 ほか: "限局性前立腺癌に対する術前内分泌療法の有用性の検討" 西日本泌尿器科. 59・1. 15-18 (1997)
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[Publications] 林宣男,川村寿一: "前立腺癌の診断-前立腺癌の画像診断" Pharma Medica. 15・11. 65-69 (1997)
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[Publications] 林宣男,川村寿一: "MRI,経直腸MRI腎尿路系疾患の検査" 腎と透析. 43(増刊). 887-890 (1997)
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[Publications] 佐谷博之 ほか: "前立腺癌患者における骨代謝,燐代謝の検討-パラクライン的影響とエンドクライン的影響について-" 泌尿器科紀要. 43・12. 849-854 (1997)