1996 Fiscal Year Annual Research Report
女性生殖器細胞の増殖、分化とアポトーシスの局所調節機構に関する分子生物学的研究
Project/Area Number |
07457388
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
丸尾 猛 神戸大学, 医学部, 教授 (60135811)
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Keywords | 増殖 / 細胞死(アポトーシス) / 分化 / 卵巣 / 子宮 / 胎盤 / TNFα / TGFβ |
Research Abstract |
顆粒膜細胞のアポトーシス修飾因子を明らかにするため、培養顆粒膜細胞に起こるアポトーシスをin situ DNA 3'-end labeling法によって調べると、顆粒膜細胞におけるDNA断片化シグナルは,FSHあるいはIGF-I添加によって著しく減少するのに対し、TGF-βあるいはTNF-α添加では逆に著名に増加することを認めた。サイトカインの一種であるTNF-αは、卵胞発育に不可欠なendocrine因子であるFSHと、卵巣内局所因子として重要な役割を果たすIGF-Iによる顆粒膜細胞の増殖能と内分泌機能促進に対して抑制的に働くが、TNF-αの細胞増殖抑制効果は小卵胞由来の未分化型顆粒膜細胞において優位であったのに対し、TNF-αのE_2産生抑制効果は中卵胞および大卵胞由来の分化型顆粒膜細胞において優位であった。このことから、顆粒膜細胞におけるTNF-α生物作用の発現は、卵胞の発育、成熟に従い、顆粒膜細胞の増殖能抑制から分化機能抑制へと移行することが推察された。 他方、培養子宮筋腫細胞におけるEGF受容体発現はE_2により増強されるのに対し、EGF発現はP_4により促進されることが明らかとなった。従って、E_2とP_4は子宮筋腫細胞でのEGF-EGF受容体系発現の調節に補完的、協調的に作用し、子宮筋腫細胞の増殖促進に関与することが推察された。しかも興味深いことに、P_4は子宮筋腫細胞でのアポトーシス抑制遺伝子であるbcl-2の発現を大きく促進することを認めた。 また絨毛トロボブラストの場合、cytotrophblastの増殖能とアポトーシスは共に妊娠初期に強く末期に低下したが、bcl-2蛋白はsyncytiotrophblastに主として発現し、妊娠末期に増加した。これより胎盤発育はトロホブラストの増殖とアポトーシスならびにアポトーシス抑制機構の中で調節されていることが推察された。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Maruo T: "Control of granulasa cell proliferation and apoptotic process" Journal Reproduction & Development. 42. 51-56 (1996)
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[Publications] Kondo H,Maruo T: "Immunological evidence for the expression of the Fas antigen in the infant and adultovary" Journal of Clinical Enclocrinology. 81. 2702-2710 (1996)
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[Publications] Dengx,Maruo T: "Comparison of immunocytologic localization of IGFβP-4 in normal and PCO ovaries" Endocrine Journal. 43. 269-278 (1996)
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[Publications] Matsuo M,Maruo T: "Increased expression of Bcl-2 protein human uterine leiomyoma" J.Clin Endocrinol Matab.82. 293-299 (1997)
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[Publications] 出口純,丸尾猛: "TNFαによる顆粒膜細胞の増殖能と内分泌機能の調節" 日本産科婦科学会雑誌. 48. 1043-1050 (1996)
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[Publications] 丸尾猛,松尾博哉: "子宮筋腫の発生、発育に関する諸因子" 実験治療. 645. 28-30 (1997)
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[Publications] 望月眞人,出口純、丸尾猛: "不育症の治療-内分泌異常" メジカルビュー社, 163 (1996)
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[Publications] 丸尾猛、松尾博哉: "Annual Review 内分泌代謝-性腺(女子)" 中外医学社, 273 (1996)