1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07457399
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
内藤 泰 京都大学, 医学研究科, 講師 (70217628)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤木 暢也 京都大学, 医学研究科, 助手 (20271009)
長峯 隆 京都大学, 医学研究科, 助手 (10231490)
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Keywords | 人工内耳 / PET / 言語認知 / 聴覚野 / 神経活動 / 難聴 |
Research Abstract |
人工内耳を埋め込んだ言語習得前失聴者、言語習得後失聴者および聴力正常者を対象に、言語音、雑音刺激を行った時の脳神経活動を、ポジトロン断層法(PET)を用いて調べ、三群の聴覚野の活動を比較した。正常人及び言語習得後失聴者はともに、雑音および言語音により、一次聴覚野では神経活動の増加を意味する約10%の血流の増加が認められたが、聴覚連合野では、言語音のみで血流増加が見られた(雑音刺激では2%程度であるのに対し、言語音刺激では9〜16%の血流増加が見られた)。このことから、聴覚連合野は語音の認知に深く関わっていること、言語習得後失聴者が人工内耳を使用する場合、聴皮質においては正常の語音認知機構がそのまま働いていることが示唆された。一方、言語取得前失聴者では、一次聴覚野の血流増加は雑音言語音ともに3〜6%と正常人や言語習得後失聴者よりも低く、また、言語刺激時の聴覚連合野の血流増加も1〜3%と極端に悪かった。生後音刺激が無かった場合、聴覚中枢の神経回路網は正常とは異なる発達をするかあるいは十分に発達しない可能性が示唆された。また、言語の分析、認知機構も十分に発達していないか、長期に渡る高度難聴のために退化したものと推測されるが、正常な言語発達のためには、4歳までのいわゆる言語習得期における外界からの音刺激が重要とされており、今回の言語習得前失聴者の人工内耳使用がこの時期を過ぎてから開始されていることを考え合わせると、認知機構の退化というよりは、同機構の未発達が原因と考えられた。言語習得前失聴者で、言語習得期以前すなわち2、3歳時に人工内耳を使用し始めた場合、良好な言語認知が得られるとの報告がある。このような症例で正常の語音認知が発達するかどうかは、今後解明しなければならない課題である。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 内藤 泰、本庄 巌、高橋晴雄他: "小児人工内耳のためのCTによる側頭骨計測" 耳鼻臨床. 88. 715-720 (1995)
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[Publications] Natio Y,Okazawa H,Honjo,I et al: "Cortical activation with sound stimulation in cochlear implant users demonstrated by Positron Emission Tomography." Cognitive Brain Reserach. 2. 207-214 (1995)
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[Publications] Natio Y,Okawaza H,Honjo I,et al: "Cortical activation during sound stimulation in cochlear implant users demonstrated by Positron Emission Tomography." Ann Otol Rhinol Laryngol. 104 Suppl166. 60-64 (1995)
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[Publications] Natio Y,Shiomi Y,Takahashi H,et al: "urface-coil magnetic resonance imaging of the internal auditory canal and the inner ear-preliminary report-." Ann Otol Rhinol Laryngol. 104. 776-782 (1995)
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[Publications] 平野 滋、内藤 泰、児嶋久剛: "PETによる言葉の中枢処理機構の観察" 耳鼻臨床. 89. 371-378 (1996)
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[Publications] Naito Y,Hirano S,Okazawa H,et al: "Central audltory processing of speech in cochlear implant users demonstrated by PET" Advaces in Otolaryngology. (accepted for publication)(in press). (1997)
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[Publications] 内藤 泰: "耳鼻咽喉科・頭頚部外科クリニカルトレンド" 中山書店、東京, 2 (1996)
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[Publications] 内藤 泰、平野 滋、本庄 巌: "図説耳鼻咽喉科 NEW APPROACH V,聴覚報処理研究の新しい展開" メジカルビュー社,東京, 11 (1996)