1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07457401
|
Research Institution | Shimane Medical University |
Principal Investigator |
川内 秀之 島根医科大学, 医学部, 教授 (50161279)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 啓介 島根医科大学, 医学部, 助手 (10263542)
|
Keywords | 鼻粘膜局所免疫 / NOD-scidマウス / ヒト口蓋扁桃リンパ球 / αβTCR陽性T細胞 / γδTCR陽性T細胞 / IgA抗体産生 / サイトカイン / コレラトキシン |
Research Abstract |
鼻粘膜局所免疫応答機構の解析のため下記の実験を行い成果を得た。(1)ヒト扁桃リンパ球の上気道粘膜防御機構における役割を検討する目的で、ヒト口蓋扁桃リンパ球のNOD-scidマウスへの移入実験系を確立した。ヒト口蓋扁桃由来のT細胞やB細胞が移入後長期に亘ってNOD-scidマウスの体内で生存すること、さらには鼻粘膜より抗原刺激を加えることにより、これらのヒトT細胞やB細胞が上気道粘膜局所へ動員されることが示された。これらの結果は、ヒト口蓋扁桃リンパ球が上気道の抗原特異的な免疫応答において、粘膜局所に動員され分化増殖することにより免疫防御機構に関わっていることを示唆するものである。(2)C57BL/6マウスおよびOVAトランスジェニックマウスを用いて、点鼻による鼻局所粘膜免疫応答の賦活を行い、鼻粘膜に動員されたリンパ球とNALTリンパ球を個別に採取し、そのリンパ球分画のFACS解析とRT-PCR法によるmRNAレベルでのサイトカイン産生パターンを検討した。その結果、コレラトキシンと蛋白抗原(HRP,OVAなど)の点鼻により、鼻粘膜での抗原特異的IgA抗体産生が認められ、鼻粘膜に動員されたリンパ球分画でαβTCR陽性T細胞の有意の増加を示し、γδTCR陽性細胞も検出された。さらにRT-PCRにてTリンパ球のIL-2,IFN-γ,IL-4,IL-5,IL-6,TGF-βのmRNAの発現を検討したが、IL-2,IFN-γ,IL-6,TBF-βの発現が増強されていた。この結果は、鼻粘膜でのB細胞による抗原特異的IgA抗体産生において、αβTCR陽性T細胞とγδTCR陽性T細胞が重要な役割を果たしていることを示唆するものである。
|
Research Products
(8 results)
-
[Publications] 川内秀之: "鼻咽喉の局所粘膜免疫応答における扁桃の役割" 口腔咽頭科. 8(3). 337-344 (1996)
-
[Publications] Hideyuki Kawauchi: "Mucosal immunity of nasopharynx : an experimental study in mice." Proceedings of the 16 World Congress of Otorhinolaryngology Head and Neck Surgery,Australia,Sydney,March 2-7,1997. 1717-1720 (1997)
-
[Publications] 川内秀之: "鼻粘膜における局所免疫応答機構の解析・マウスを用いた実験的検討-その2-" 日本鼻科学会会誌. 36(2). 40-44 (1997)
-
[Publications] 川内秀之: "TCRトランスジェニックマウス(OVA23-3)を用いた鼻粘膜局所免疫応答の実験的検討" 耳鼻咽喉科免疫アレルギー. 15(2). 158-159 (1997)
-
[Publications] 柴 宏巳: "ヒト鼻咽喉粘膜における抗原提示細胞の分布について" 耳鼻咽喉科免疫アレルギー. 15(2). 166-167 (1997)
-
[Publications] 川内秀之: "ヒト口蓋扁桃リンパ球のマウスへの移植の試み-NOD-scidマウスを用いた検討-" 日本耳鼻咽喉科感染症研究会会誌(発表予定). 16. (1998)
-
[Publications] 川内秀之: "JOHNS Vol.12.中耳の免疫と感染論" 東京医学社, 6 (1996)
-
[Publications] 川内秀之: "医学のあゆみ177.Nasal tolerance(経鼻免疫寛容)と鼻疾患に対するその応用" 医歯薬出版, 4 (1996)