1996 Fiscal Year Annual Research Report
インフルエンザ菌外膜抗原に対する粘膜免疫応答およびその制御機構
Project/Area Number |
07457403
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | 大分医科大学 |
Principal Investigator |
茂木 五郎 大分医科大学, 医学部, 教授 (20035190)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
重見 英男 大分医科大学, 医学部, 助手 (50271135)
黒野 祐一 大分医科大学, 医学部, 助教授 (80153427)
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Keywords | インフルエンザ菌 / 粘膜免疫 / IgA / 扁桃 / サイトカイン |
Research Abstract |
I.インフルエンザ菌に対する扁桃の粘膜免疫応答 扁桃のP6特異的免疫グロブリン産生細胞数をELISPOT法により測定したところ、扁桃組織よりインフルエンザ菌が検出された症例では細菌が検出された症例と比較して有意にP6特異的IgA産生細胞数が少なかった。また、5歳以下の年少児では、扁桃のIgA産生細胞数と鼻咽腔液中IgA抗体価に有意の正の相関が認められた。扁桃CD4^+T細胞を抗原提示細胞とIL-2の存在下にP6とともに培養しそのサイトカイン産生をELISA法、ELISPOT法を用いて観察したところ、Th2型サイトカインであるIL-5、IL-6の産生が有意であった。以上の結果から、扁桃はインフルエンザ菌に対する粘膜免疫応答を備え、これにより組織内への細菌侵入を防いでいること、そしてこの粘膜免疫応答の制御には消化管と同様にTh2型サイトカインが重要な役割を担っていることが示唆された。 II.マウスにおけるインフルエンザ菌に対する粘膜免疫応答の解析 マウスをインフルエンザ菌外膜蛋白(OMP)で、経鼻、経口、経気管、そして全身免疫し、鼻腔洗浄液、唾液、血清中免疫グロブリンの動態そして鼻粘膜、肺、腸管粘膜、脾臓における特異的抗体産生細胞を観察した。その結果、いずれの経粘膜免疫でも鼻粘膜に極めて多数のOMP特異的IgA産生細胞が誘導され、経鼻免疫でもっとも有意に増加した。全身免疫群ではIgA応答は認められなかった。さらに、脾臓からCD4^+T細胞を分離しサイトカイン産生を比較したところ、経鼻免疫でもっともTh2型そしてTh1型サイトカインの産生が亢進していた。以上の結果から、鼻腔は粘膜免疫の誘導組織としてもまた実効組織としても非常に強力であること、さらには経鼻免疫の有用性が示唆された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Yuichi Kurono,et al: "The role of adenoids in nasopharyngeal colonization with nontypable H influenzae" Acta Otolaryngol (Stockh). Suppl523. 147-149 (1996)
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[Publications] Naoko Sakimoto,et al: "Detection of H.influenzae in adenoids and nasopharyngeal secretions by PCR" Acta Otolaryngol (Stockh). Suppl523. 145-146 (1996)
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[Publications] Yuichi Kurono,et al: "Effects of oral and systemic immunization on nasopharyngeal nontypable haemophilus influenzae in BALB/C mice" Laiyngoscope. Vol.106,No5. 614-618 (1996)
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[Publications] Hideomi Kerakamauchi,et al: "Immune responses against Streptococcus pyogenes in human palatine tonsils" Laryngoscope. (掲載予定). (1997)
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[Publications] 黒野祐一,他: "咽頭・扁桃の感染に対する粘膜免疫応答" 日本気管食道科学会会報. (掲載予定). (1997)