1997 Fiscal Year Annual Research Report
耳鳴の成因としての蝸牛遠心性情報伝達障害に関する基礎的・臨床的研究
Project/Area Number |
07457405
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Research Institution | KEIO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
神崎 仁 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (00051441)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 竜彦 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (60238186)
斎藤 秀行 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10235062)
井上 泰宏 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (60193611)
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Keywords | 耳鳴 / 耳音響放射 / 蝸牛遠心性神経 / 外有毛細胞 / PKC / カルシウム / リドカイン |
Research Abstract |
臨床的研究では突発性難聴やメニエル病などの内耳性難聴および内耳性難聴と後迷路性難聴が混在する聴神経腫瘍に伴う耳鳴に対する蝸牛遠心性神経系の関与を明らかにするために、これら耳鳴を伴う各難聴症例の耳鳴検査所見と蝸牛遠心性神経系により制御される外有毛細胞の能動的運動能を反映すると考えられる耳音響放射(TEOAE、DPOAE)との関係について継続して検討した。全体として耳鳴の性状と耳音響放射との間には明らかな関係は認められなかったが、内耳性難聴症例の耳鳴と耳音響放射の経時的変化には相関関係が認められた。しかし、聴神経腫瘍においては耳鳴と耳音響放射の経時的な変化にも明らかな関係は認められなかった。 基礎的研究では蝸牛感覚上皮におけるPKC活性に対するリドカインの影響について検討した。PKC活性はリン酸化PSペプチドに対するモノクロナール抗体2B9を用いたELISA法にて測定したが、前年度の研究で示唆されたリドカインのPKC活性化作用は証明されなかった。単離外有毛細胞を用いた実験ではリドカインの外有毛細胞に対する細胞毒性はないことが明らかになり、単離外有毛細胞はリドカインにより収縮し、その収縮の度合は外有毛細胞長に依存することが明らかになった。これらの結果より、リドカインは外有毛細胞内のIP3セカンドメッセンジャー系を活性化し、細胞内カルシウムを上昇させ、外有毛細胞の能動的運動能を引き起こし、耳鳴を抑制する可能性が考えられたが、DGよりPKC活性化に至る経路がどのように関与するのかは今後の課題となった。
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