Research Abstract |
1.実験室株を用いて,DNA合成酵素,糖蛋白,チミジンキナーゼをコードする領域を増幅部として,94℃2分,58℃3分,72℃4分の条件で30回増幅し,標準DNAとして実験室株のコピー数を測定し,現在標準曲線を作成中である。 2.実験室株をマウス角膜に接種し,急性感染期(接種後3日〜10日)における涙液を採取し,潜伏感染期(接種後21日)に角膜,結膜,前房水,三叉神経節を採取した。 3.2で採取した標本を用いて培養法とPCR法を同時に施行した場合,培養法でのHSV-1の検出率は,涙液から50%,角膜,結膜,前房水,三叉神経節からは0%であった。PCR法によるHSV-1-DNAの検出率は,涙液から100%,角膜,結膜,前房水,三叉神経節からは各々,20,10,10,20%であった。 4.2で採取した標本を用いて培養法とPCR法を分離して施行した場合,培養法でのHSV-1の検出率は,涙液から50%,角膜,結膜,前房水,三叉神経節からは0%であった。PCR法によるHSV-1-DNAの検出率は、涙液から100%,角膜、結膜,前房水,三叉神経節からは各々,50,30,30,50%であった。 5.3と4の成績から,培養法とPCR法を同時に施行すると,標本量が少ない為,PCR法によるHSV-1-DNAの検出率が低下したと考えられた。 6.急性期と潜伏期の鑑別の一つとして,DNA合成を証明するmRNAの検出も今後は検討したいと考えている。問題として,涙液中にはRNA分解酵素が多量に存在することが挙げられる。
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