1996 Fiscal Year Annual Research Report
口腔扁平上皮癌の発生・進展・予後に関する分子病理学的研究
Project/Area Number |
07457429
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
二階 宏昌 広島大学, 歯学部, 教授 (60028735)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮内 睦美 広島大学, 歯学部, 助手 (50169265)
伊東 博司 広島大学, 歯学部, 助手 (20184682)
小川 郁子 広島大学, 歯学部・附属病院, 講師 (70136092)
高田 隆 広島大学, 歯学部, 助教授 (10154783)
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Keywords | 口腔扁平上皮法 / アポトーシス / telomerase活性 / bcl-2 / TUNEL 法 / TRAP 法 |
Research Abstract |
口腔扁平上皮癌の発生・進展・予後に関わる多数の因子の中から、前年度と同様の課題を例数を増やして引続き検討したのに加えて、本年度は癌発生におけるアポトーシスの関与、癌細胞の不死化に関わると考えられているtelomerase活性の発現や癌遺伝子bcl-2の発現等について検討し、以下の知見を得た。 1.ラットの発癌実験で形成された癌組織にTUNEL法を施行し、アポトーシス細胞の頻度や局在を調べた結果、癌細胞に加えて上皮異形成を示す細胞もTUNEL陽性を示したが、その数は極く少数であり、増殖能を有する細胞の数がアポトーシスで排除される細胞数に勝ることが腫瘍形式に関わる可能性が示唆された。 2.Telomeraseについては、患者組織への応用の可能性を探り、また手技の確立を目指して、まず扁平上皮癌細胞株7株を用いてTRAP法により活性の有無を調べた結果、すべての細胞株に明瞭なtelomerase活性が観察され、口腔扁平上皮癌の発生にもtelomeraseが重要な役割を果していることが示唆された。現在、癌および上皮異形式症の生検およびに手術組織を用いてin situ hybridizationによりtelomerase RNAの局在を検討しつつあり、癌細胞のみならず上皮異形成を示す細胞にもその局在を認めている。 3.細胞のアポトーシスを抑制することにより癌の発生や癌の治療に対する抵抗性(予後)に関係すると考えられているbcl-2蛋白とp53蛋白の発現を舌癌59例において調べ、放射線治療効果との関連を検討した。その結果、治療効果の低かった例ではbcl-2/p53の両方あるいは一方の発現が有意に高頻度にみられ、扁平上皮癌でもこれらの蛋白が放射線抵抗性に関わっている可能性が示唆された。なお、p53遺伝子についてはexon5-8の変異についてSSCP-PCR法にて検討している。
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